札幌市の快気堂鍼灸院白石で紡がれる物語

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鍼灸をめぐる冒険(2)エキテンショック

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(1)の続き

バブルの萌芽

2014年10月に突然減った新規の患者さん。いったい何があったのか?

いろいろ考えて、思い当たったのが10月に実施された「口コミサイト・エキテン」の仕様変更でした。

札幌市 鍼灸の口コミ・ランキング【エキテン】

それまで、快気堂鍼灸院白石の集客の柱はエキテンとweb siteでした。

エキテンは、治療院系の口コミサイトとしては圧倒的な影響力を持っています。ネットで「鍼灸院 札幌」などと検索するとトップに表示されます。エキテン内の順位で上位に表示されれば、ネット上で強い集客力を持つことができます。

しかし、私が開院した当初、このエキテンの集客力の強さは、まだ札幌の治療院業界にはそれほど知られていない状況でした。これが幸いしました。

私もよく分かっていなかったのですが、東京に住んでいたころのバイト仲間がエキテンの仕事をしていて、「開院したのなら、絶対やった方が良い」と、しつこく毎日電話してきたので、根負けして月5千円の有料会員に登録しました。アドバイス通りに、口コミもいくつか集めました。

ライバルがまだいなかったせいもあり、なんと、札幌の鍼灸院口コミランキング一位を早い段階で獲得することができました。結果、快気堂は弱小の新しい鍼灸院にも関わらず、十分な新規の患者さんを獲得することができたのです。

エキテンの効果が素晴らしかったため、開院以来、チラシを配ったこともありませんでした。

そんなエキテンとの蜜月は2014年10月に突然終わりを告げます。

 

エキテンショック

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なぜか分かりませんが、エキテンが口コミ順での表示をやめてしまったのです。正確に言うと、口コミ順での表示は何度かの操作を得ないと表示されないように変更されたのです。

検索で出てきたエキテンをクリックしてまず出てくるのが、口コミには関係ないランダムな順序での表示になりました。

ページを開いて、はじめに表示される順序は、ネットでの集客にとって最も重要な部分です。ネットで治療院を調べる人のほとんどは、クリックして最初に出てくる治療院か、その次くらいまでしか見ないからです。

これにより、快気堂の新規患者さんが激減しました。

そして追い打ちをかけるように、2015年初頭、上位プランが開始されました。上位プランは、高いお金を出せば、口コミ評価にかかわらず上位に表示されるというものでした。この頃になると、大手の鍼灸整骨院さん達もエキテンの高い効果に気づき始め、惜しみなく巨大な資金を投入するようになっていました。

あわれ、ちっぽけな快気堂は、評価は変わらないのに、上位に表示されなくなり、エキテンでの集客が困難になりました。

 

資本力の壁

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この頃、治療院業界にもマーケティングの波が押し寄せていました。

快気堂と同じ地区にある、整骨院系の治療院も広告宣伝費にものすごい金額をつぎ込むようになりました。

鍼灸院に比べて、整骨院系は資本力があるところが多いです。整骨院同士の競争なら関係ないんですが、鍼灸もやる鍼灸整骨院というものがありまして、、、。鍼灸整骨院に本気でネット広告対策をされると、当院のような資本の少ない鍼灸院は対抗できるはずもありません。

鍼灸に関して検索すると、同地区の鍼灸整骨院さんの広告がバンバン表示されるようになりました。快気堂鍼灸院白石は、ネット上で鍼灸整骨院さんのマーケティング攻勢の陰に完全に埋もれてしまいました。エキテンとネットを集客の柱にしていた快気堂は、新規患者さへアピールする窓口を失ってしまったのです。

資本力のあるところは、広告に高いお金を投入することができ、お客さんを呼び、また、資本力が強化され、さらに巨額の広告費をつぎ込み、、、といったスパイラルが起こるということを有り有りとと見せつけられました。

資本力の無いところが、ネットで大手を出し抜き、大逆転を起こす時代は過ぎ去ったのだと悲嘆に暮れました。

中年ノイローゼ

患者さんが減ると、当然、台所事情も苦しくなります。2歳の息子のおやつの値段にも敏感になります。国保や保育園代など公共の料金は前年の売り上げで決まるものも多くあります。2年目が好調だったため、これらの支払金額が、収入に対して非常に高くなってしまい「払えるわけない、国は我々を殺す気なのか?」と感じてしまうほどでした。

元日ハム新庄選手の、一年目にもらった年俸を車の購入などで全て使ってしまい、次の年に税金の請求が来て顔面蒼白になったエピソードが笑い話ではなくなりました。

打開しようと、ネットで情報収集してみるものの、検索すると某鍼灸整骨院の先生の顔ばかりが表示されます。「ここに患者さんがみんな盗られてしまってるんだ。」とノイローゼ状態となり、食卓での話題は、その治療院の事ばかり。妻に「いい加減にして!」と怒鳴られる始末でした。今考えると、妻と息子に申し訳無いことをしたと思います。

妻の一喝で我に返った私は、ネットを一端遮断し、もう一度「なぜ患者さんがこないのか?」について改めて考えてみました。よく考えてみると、今までがラッキーすぎたのです。エキテンでの集客がうまくいきすぎていたために、根本的な問題を見逃していたのです。この問題に比べたら、エキテンの仕様変更も、鍼灸整骨院系のマーケティング攻勢もたいした問題ではありませんでした。快気堂鍼灸院白石には最も大事なものがかけていたのです。

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快気堂に足りなかったもの

それは、患者さんに来てもらうための「快気堂鍼灸院白石でなければならない」はっきりとした理由です。

これには、医療とリラクゼーションの問題をはじめ、複雑な要因がたくさん絡んできます。これを解決するには、治療スタイルや経営方針まで含めた大変革をする必要がありました。変革にはリスクが伴います。いつ沈んでもおかしくない大航海に挑戦するようなものです。

しかし、生き残るためには、必要な冒険でした。

私には夢があります。

鍼灸で世界を変えたいと夢見ています。40歳にもなって大人げないとも思いますが、鍼灸院が閉院のピンチでも、夜になると目のピントが合わなくなり「老いを意識する年齢になったか」とめげそうになっても、この情熱は冷めるどころか、ますます熱を増すばかりです。

夢を叶えるためにも、生き残らなければなりません。今考えれば、夢の実現のためには必然だった冒険の旅。足りないものを手に入れるため、一歩踏み出す覚悟をこのとき決めたのでした。

つづく...(3)

札幌市白石区の鍼灸院:快気堂鍼灸院白石

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