ドアのノックはゆっくりと

札幌市の鍼灸院 快気堂鍼灸院白石で紡がれる物語

*

治療家の絶対正義「患者さんのために」は3種類あるのか〜!?。〜鍼灸師のあぶない冒険⑥〜

      2017/07/20

絶好調の裏側で

ぼくのかんがえるさいきょうの5本柱+αにより、来院数、売上共に絶好調だった我が快気堂鍼灸院白石鍼灸院。

来院数が多ければ臨床の機会が増え、施術の核をなす整動鍼も習熟度が上がっていき、臨床でさらに成果が出るという、正のスパイラルに乗ることが出来たように感じていました。

一方で、どうしてもぬぐえない違和感も感じていました。

この違和感は、開業準備段階から感じていたものです。

妻とアロマと私

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妻は、私と出会う前、個人でアロマサロンをやっていました。

この話をすると、たいていの人は「奥様のアロマメニューも治療院でやれば良いのに。」とアドバイスをしてくれます。

治療院マーケティングの有名な先生が当院を訪れたときも、同様のアドバイスをしてくれました。

妻も開院準備の段階から「やりたい」と何度も言ってくれていました。

しかし、私はなぜか、アロマを治療院のメニューに加えるのに違和感を感じ、やりたいと思えませんでした。

同じように、サプリや健康グッズの物販、患者さんへの手紙、健康教室の開催など、治療院マーケティングで推奨される取り組みについても違和感を感じ、どうしてもやる気になれませんでした。

正義の話をしよう

数年前、ハーバード大学のサンデル教授がブームになり、「正義」という言葉が注目を集めました。

我々、治療する立場の人間にも、揺るぎない絶対正義があります。

それは「患者さんのために」です。

「愛」「平和」「自由」「平等」といった、一般的な絶対正義と同じように、治療家は「患者さんのため」を持ち出されるとどんなに精巧な理屈をもってしても反論できなくなり、黙って従うしか無い、といった空気になります。

「患者さんのために」は、それだけ強い力があります。

マーケティングは正義の結晶

正義

マーケティングは心理学がベースにあります。治療家が採用しやすいように、「患者さんのために」という絶対正義を巧みに操ってきます。

例えばこんな感じです。

「患者さんのために」サプリ・健康グッズの販売、アロマメニューの追加で「健康に関する相談は信頼する一カ所でしたい」というニーズを満たしましょう。

「患者さんのために」自覚症状が無くても定期的なメンテナンスを受けて頂きたい。そのために、治療間隔の開いてしまった患者さんに来院を促すお手紙を書いたり、ニュースレターを送りましょう。お見舞いの電話もしてみましょう。

なにより、「患者さんのために」自分の院の良い治療を受けてもらわなければなりません。マーケティングで他の治療院に勝利するのは必須です、、、などなど。

なるほど!」と頭では納得するのですが、私にはどこか受け入れられない想いがありました。そんな自分は、「患者さんのために」よりも「自分のこだわり」を大事にする自分勝手な人間かもしれない、と悩みもしました。

違和感の正体

整動鍼に出会い、臨床での経験を積むうちに、マーケティングの言う「患者さんのために」と、自分の考える「患者さんのために」の間にあるズレが、違和感の正体だとわかってきました。

考えてみれば当然なのですが、「患者さんのために」という絶対正義は複数存在するのです。

複数あることに気付かず、「患者さんのために」とひとくくりにして考えていたので、齟齬が生じていたのです。

では、「患者さんのため」にはどんな種類があるのでしょうか。

「患者さんのために」は、「患者さんの希望に答えたい」ということです。

患者さんの希望が理解できれば、「患者さんのために」の正体を掴めそうです。

患者さん、3つの希望

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治療院にいらっしゃる「患者さんの希望」には、3つの種類があると私は考えました。

それは、

1,取り除きたい 2,補いたい、 3,忘れたいの

の3つです。

1,取り除きたい

まず、頭痛や腰痛などの痛み、めまいや難聴などの辛い症状を取り除きたいという希望です。

痛みや辛い症状が続けば、仕事や育児に支障が出て、生活の質が著しく下がります。

出来るだけ短期間の解決が歓迎されます。

2,補いたい

多くの方が、身体の不調の原因を何かが不足しているためだと感じています。

不足を補うために、薬・サプリ・漢方・健康食品などの飲食系をはじめ、〜体操・ヨガ・水泳などの運動系、枕・布団・空気清浄機などの環境系と、様々な商品が溢れています。

現代は、通常の生活を続けるだけで、何かが失われていく感覚が生まれるようになっています。

多くのものが失われた結果が「老い」と捉えられています。

不調や老いから逃れるために、失われていく何かを補いたいというのが2つめの希望です。

常に失われていくものを補うことになるので、長期間に渡るケアが歓迎されます。

3,忘れたい

不調を感じながら日常生活を送っていると、時には何もかも全て忘れたい!と思う事があります。これが三つ目の希望です。

リラックスできる非日常的空間で、気持ちの良い手技をたっぷり受けられれば、痛みを含めた悩みを忘れられそうです。

もみほぐしやエステなどのリラクゼーション系はこの希望に答えるものです。

忘れたい系は、一回の施術時間が長いことが歓迎されます。

忘れられる時間が長ければ長いほど喜ばれます。

性格の不一致

どの治療院も1〜3全ての要素を持っています。

しかし、全てを高度なレベルで保つことはかなり困難です。

それぞれの希望を満たすための技術は性格が異なるからです。

引き算

例えば、1に対する施術は、技術が高度になり効果が上がれば上がるほど、余計なことをしないことが重要になってきます。

余計な施術をして、不必要な部分まで取り除いてしまうと、治療効果が落ちるからです。

1で求められるのは、例えるなら「引き算の治療」です。

足し算

一方、2には、出来るだけ付け足してほしいという欲求が患者さん心理の根底にあるので、施術の手間や時間が多い方が喜ばれます。

施術に加え、健康グッズやセルフケアの指導、健康教室などの付け足しも「患者さんのために」プラスになります。

2で求められるのは「足し算」です。

休み時間

3には、忘れてもらうための特別な技術が必要です。

根本から症状を改善するためには、患者さんに症状と向き合っていただく必要があります。治すための技術もそれを前提とします。忘れる方向とは正反対になります。

そのため、忘れてもらうための技術は、治すための技術とはずいぶん性格が異なってきます。

手技やカウンセリング、院の環境作りまで1,2とは違った工夫と努力が必要になってきます。

3で求められるものをイメージするなら「休み時間」でしょうか。

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ドンキホーテと専門店

1,2,3とも優劣があるわけではなく、高度な技術を身につけるには、それぞれの難しさがあります。

一見、なんでも揃っている方が便利に思えますが、そうはうまくいきません。

3つとも高いレベルを保つのは非常に困難だからです。

一つの技術でさえ、上達のためには相当の労力と時間と資金が必要になります。

全てを揃えようとしても、大抵はある程度のものにしかなりません。

例えるなら、ドンキホーテのようなイメージです。

ドンキホーテにもアロマグッズをはじめ、リラクゼーショングッズは沢山売っています。しかし、特別な日に特別な人と本当にリラックスしたいとき、リラクゼーションについて驚安の殿堂ドンキホーテに問い合わせるのは、最善の方法とは言えないでしょう。

資金や時間に余裕を持てる大手ならば、ドンキホーテ路線を目指すことも可能です。しかし、私のような小さな規模の治療院では、どれかに注力し、専門店化していく方が、「患者さんのために」を高いレベルで提供でるはずです。

渡る世間は「足し算」ばかり

このように、「引き算」「足し算」「休み時間」と、「患者さんのために」必要な技術は3種類に分けられそうです。治療家として、どれに注力したいかで、治療院の方針は決まります。

さて、不思議なことに、現在、治療院は2の「補う」タイプが圧倒的多数を占めています。

治療院マーケティングも、2の方針を強く推奨しています。

これはなぜなのでしょうか?

私があれだけ成果の出ていた治療院マーケティングから距離を置くようになった理由もここにあります。

次回は、この理由について迫っていきたいと思います。

 

続き>>リピーターを作るのは治らないヒトを作っている!?〜鍼灸師のあぶない冒険⑦〜

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