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自律神経の不調の原因を解き明かす脳科学と鍼治療

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2017年6月13日

頭痛・めまい・吐き気・動悸に鍼治療が効果的な理由。

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はり治療は、頭痛、めまい、吐き気、動悸など、いわゆる自律神経の不調とされる症状にも効果があることが知られています。

 

(自律神経失調症という言葉は便利ですが、範囲があまりにも広くて使い方には注意が必要です。今回は、便宜上、頭痛、めまい、吐き気、動悸などの症状をまとめて「いわゆる自律神経症状」と表現させていただきます。詳しくはこちらもご覧下さい。実はシンプル?自律神経失調症の正体とは。

 

当院でも、そういった症状でお悩みの患者さんが、はり治療で短期間の改善に繋がる例は少なくありません。

 

ではなぜ、はり治療が「いわゆる自律神経症状」に効果があるのでしょうか。

 

実は、その理由はまだ完全にはわかっていません

ブラックボックス

現在、はり治療の研究も進み、科学的にもある程度説明できるようにはなってきているのですが、まだまだ実際にもたらされる効果とのギャップが大きく、理論と臨床成果の間には、未だ大きなブラックボックスが横たわっています。

 

はり治療の世界では、このブラックボックスの説明のために、太古の昔から気の流れ五行思想のような東洋哲学が用いられてきましたが、現代的な科学研究とは距離が広がるばかりで、ブラックボックスを解き明かすことに役立っているとは言えませんでした。

 

しかし、新しい鍼治療の体系である整動鍼の理論と、昨今の脳科学の研究成果が結びつくことで、このブラックボックスの正体に迫れそうな兆しが見えてきました。

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「痛いから動かない」のではなく「動かないから痛い」?

整動鍼は、「動きを整える」という視点から、鍼治療の理論を再構築した技術体系です。

 

通常、痛みがあると、痛みがある箇所を検査して、そこに治療をします。

 

例えば、腰痛の場合、一番痛む箇所を探し、そこに痛み止めの注射などをします。

 

一方、整動の理論では、痛みは動きの問題と考えます。「痛いから動かない」のではなく、「動かないから痛い」と考えます。

 

一見、不思議な感じがするかも知れませんが、最新の医学研究では「動かないから痛い」というのは常識となりつつああります。

 

2012年に改訂された整形外科医用の腰痛ガイドラインでは、痛む腰を少しずつ動かして動ける範囲を確認しながら広げていくという「認知療法」が、腰痛の最も有効な治療法であるとされています。

 

詳しくはこちらもどうぞ

 

NHKスペシャル「腰痛・治療革命」を見て。知っておきたい腰痛2つの新常識

痛みとツボの不思議な関係

痛みの原因が「うまく動けないから」だとしたら、なぜ、うまく動けないのでしょう。

 

それは筋肉の緊張のバランスが崩れているからです。

 

痛みのある箇所に触れてみると、大半は強い緊張が見つかります。

 

ここで、さらに広く丹念に身体を探っていくと、痛みからかなり離れた箇所に特徴的な緊張をしているポイントが見つかります。

 

不思議なことに、この特徴的な緊張を緩めると、痛む箇所の緊張も緩みます。すると、動かなかった所が動くようになり、痛みが緩和されたり消えてしまうという現象が起こります。

 

面白いことに、この特徴的な緊張は、位置が鍼灸で使うツボと一致してる事が多く、大きさも米粒大〜ゴマ粒程度なので、鍼灸で使うツボとイメージがかなり重なります。

離れたところに鍼をする理由

鍼は、筋肉の緊張を緩める効果があります。

 

科学的にも、鍼をしたときに発生するアデノシンという物質の作用から、鍼が筋肉の緊張を緩めるメカニズムが解明されつつあります。

 

(Goldman N Nat Neurosci. 2010 Jul;13(7):883-8. doi: 10.1038/nn.2562. Epub 2010 May 30.)

 

これを利用して、痛みのある箇所の緊張に鍼をしても、緊張が緩んで痛みが緩和されます。

 

しかし、整動鍼では、痛みの箇所から離れたツボに鍼をします。

 

なぜなら、離れたツボに鍼をして緩めた方が効き目が良く、効果も長く続くことが多いためです。

 

これは、痛む箇所への鍼が局所だけの緊張緩和・鎮痛に止まるのに対し、離れたツボへの鍼は、身体の動きを大きく調整できるからだと考えられます。

 

この、ツボと動きと痛みの関係を研究し、臨床で活用できるようにデザインされた技術体系が整動鍼です。

 

整動鍼とは» 活法研究会

動きを整える

自律神経と整動

まとめると、

 

1,痛みの原因はうまく動けないこと。

 

2,問題(痛み)のある箇所には、強い緊張があることが多い。

 

3,対応するツボに鍼をすると、問題のある箇所の緊張がとれ、動きが改善し、問題(痛み)が解決する。

 

となります。

 

では、それがなぜ、自律神経症状にも効果を出せるのでしょうか?

 

その答えの鍵となるのが、脳科学です。

自律神経の不調は心の問題?

自律神経症状が発症する原因は未だ不明ですが、 病院で「ストレスのせい」と診断されるように、発症するメカニズムとして次の様なモデルが予想されてきました。

 

ストレスを誘発する環境→心がストレスを感じる→ストレスにさらされ続けた心がコントロールできなくなる→自律神経(主に交感神経)の暴走→身体の不調(頭痛・めまい・吐き気・動悸・息苦しさなど)

 

自律神経失調従来のモデル

 

このモデルでは、心がストレスを感じることを原因と考えるため、治療は心がストレスを感じないように脳を麻痺させことを目的にし、そういった薬による対処がメインとなっています。

 

しかし、このモデルが全くの間違いである事が、最近の脳の研究で明らかになってきました。

ストレスは後付け?

2008年に興味深い実験結果がNature Neuroscience誌で発表されています。

 

まず、左右二つの押しボタンを用意します。次に、被験者に、左右好きなボタンを好きなときに押してもらい、その時の脳の活動をfMRIという装置で観察するというシンプルな実験です。

 

驚くことに、「押そう!」という意図の発生より7秒以上も前に、右と左のどちらを押すかが脳の活動を見るとわかる、という結果が出ました。

 

例えば、被験者が「右を押そう」と考える7秒以上前に、脳が被験者の身体に右のボタンを押させる準備を始めていることがわかったのです。

 

この事から、人間は、自分の意思で身体を動かしているのではなく、まず、無意識に身体が動き、その結果を後から辻褄合わせで解釈したのが意思や感情であることがわかってきました。

 

Soon CS1 Nat Neurosci. 2008 May;11(5):543-5

 

そうだとすると、我々は、嬉しいことがあったから笑うのではなく、笑ったから嬉しいと感じている事になります。また、悲しいから泣くのではなく、涙が流れているのに気付いたから悲しくなっているということになります。

 

にわかに信じがたい話ですが、この不思議な因果関係の逆転は、様々な実験によって繰り返し証明されていて、現在では脳科学の常識となっています。

自律神経症状の正体

脳科学の新常識を元に「いわゆる自律神経症状」の発症メカニズムを考えてみましょう。

 

人が不安という感情を抱くのは、次の様な経緯を辿ることになります。

 

自分にとってネガティブな環境→身体が無意識に警戒態勢をとる→自律神経のうち交感神経を興奮させ身を守る準備をする→心が不安を感じる

 

今までの常識とは違い、不安という感情が最後に来ます。

 

次に、「自分にとってネガティブな環境 」が絶え間なく続くと、身体が警戒態勢をとり続け、終いには「不必要な状況でも警戒態勢をとる」癖がついてしまいます。

 

ネガティブな環境が続く→身体が不必要に警戒態勢をとる癖がつく→交感神経も興奮が冷めない→自律神経症状が発症する→心の不安がとれなくなる

 

自律神経失調 新常識

 

心の不安というのは、警戒態勢をとる際のスイッチの感度を上げる働きをしますが、根本的な原因ではありません。薬で不安を感じなくさせたとしても、身体の警戒態勢の癖がとれるわけではありません。

 

そのため、薬の治療だけではすっきり完治せず、薬を飲み続けなければいけないケースが出てくるのです。

鍼による自律神経症状治療の可能性

「いわゆる自律神経症状」の原因の奥底には「不必要に警戒態勢をとり続けてしまう身体の癖」が潜んでいます。

 

客観的に診た場合、不必要な警戒態勢は、「身体の変な力み」とも捉えられます。

 

実際、「いわゆる自律神経症状」を訴える大半の患者さんには、首や肩、背中、お腹などに特徴的な緊張がみられます。

 

そして、整動の理論では、身体の不必要な緊張は、動きの崩れが原因と考えます。

 

身体を丹念に探ると、「いわゆる自律神経症状」の患者さんにも、特徴的な緊張とは離れたポイントに対応する緊張(ツボ)を見つけることが出来ます。

 

このツボに鍼をすると、特徴的な緊張が緩和し、身体の不必要な警戒態勢が解けます。

 

結果、交感神経の興奮も収まり、自律神経症状が改善するのです。

 

これが、はり治療で「いわゆる自律神経症状」が改善する理由だと考えられます。

古典鍼灸との邂逅

身体の動きの問題という視点から、自律神経症状の治療をしていると、いくつかのパターンがあることに気付きます。

 

無意識の身体の緊張は、周囲の環境への対応から生まれます。遭遇する環境の違いによって、緊張するパターンが違うのではないかと考えています。

 

例えば、

 

・目の前に、殴りたくなるような、戦うべき対象がいる環境→ファイティングポーズになる→イライラや怒りを感じる。

 

・下手すると命に関わる危険がありそうな環境→いつでも逃げ出せる態勢になる→心に恐怖を感じる。

 

・なんとなく嫌なことが起こりそうな環境→防御の態勢になる→心に不安を感じる。

 

などなど。

 

興味深いことに、この緊張のパターンが古典的鍼灸の経絡理論に不思議と合致する事があるのです。

 

イライラパターンだと経絡理論で言うところの肝に関係するツボに、恐怖パターンだと腎に関係するツボに、不安パターンだと脾胃に関係するツボに緊張があり、鍼をして緩めると症状が緩和されることがしばしばあります。

 

昔の鍼灸師は、身体の緊張と症状の関係を丹念に調べることで、このツボにたどり着いたのでしょう。そして、もちろん脳科学などまだ無い時代ですから、何とか理屈を説明するために、気や経絡の流れなどという概念を生み出したのではないのかなぁと、個人的には感じています。

これから

今回の記事で、科学的に証明されている部分については、論文の引用元を載せました。引用元が無い、特に整動の理論の部分は、まだ論文化されておらず、科学的に証明されているとは言えません。

 

しかし、現在、整動鍼を採り入れた全国(+スペイン)の鍼灸師により、臨床での成果が着々と積み上げられています。

 

整動鍼による治療成果の再現性の高さを見ると、この現象の裏に確かな理屈の存在を感じずにはいられません。

 

他の治療法ではなかなか完治に至らない「いわゆる自律神経症状」に悩む方達に、安心してお任せいただけるように、臨床でさらに成果を出し続けるのと共に、論文化へ向けた研究にもチャレンジしていきたいと考えています。

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