ドアのノックはゆっくりと

札幌市の鍼灸院 快気堂鍼灸院白石で紡がれる物語

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医科学から鍼灸へ。私が鍼灸師として歩む事を選んだ理由

      2016/01/19

こんにちは。快気堂鍼灸院白石の院長、谷地一博です。

子供の頃の夢は、革命家でした。自分の力で世界を変える事に憧れていました。
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 さて、北大医学部の大学院を出て、なぜ鍼灸をやるのか?と聞かれる方が多いので、今回は、私が鍼灸師として歩む事を決意したきっかけについてお話ししたいと思います。
私は父親が鍼灸師です。しかし、子供って、家業が嫌いな、あるいは興味が無い時期ってありますよね。かく言う私も、鍼灸には全く興味がなく、いや、むしろ、小さい頃から宇宙に興味津々で、学研の「科学」と「学習」だったら、断然「科学」を選ぶ程の科学少年だった私にとって、鍼灸って非科学的で怪しいという疑いの気持ちが強く、あまり好きになれませんでした。
そんな私ですので、父親に請われ、鍼灸学校に入ったときも、鍼灸って何?食べれるの?というような状態。しかし、鍼灸学校の同級生達や、学校の先生方の鍼灸に対する熱意や真剣さに触れる事によって、気持ちが少しずつ変わり、鍼灸に対する興味がグングンと湧いてくるようになりました。ですが、何事も打ち込むと歯止めが利かない性分で、興味は鍼灸だけにとどまらず、医学全般にまで発展し、医学を学び、研究したいと考えるようになりました。幸運にも、鍼灸学校卒業後、北大大学院の医学部で学び、研究させて頂く機会を得ました。医学の新しい発見をする事で、多くの人を救い、世界を変えるんだ。子供の頃の憧れが実現できるかもしれないと興奮し、私は研究者として生きていく決心をしました。
そんな私に転機が訪れます。
ある患者さんとの出会いが、私に鍼灸の世界へ戻ってくるきっかけを与えてくれました。
3年程前に、鍼灸師である父親の体調が優れない時期があり、大学の時間の合間をぬって、父親の鍼灸院を手伝う事になりました。
長年営業しているだけあって、固定客が多い父の鍼灸院。なじみの患者の治療を父の代わりにする日々が続きました。
あるとき、患者さんの紹介で、一人の若者が鍼灸院にやって来ました。
父が、「良い機会だから、最初からお前がみなさい」と提案。初診から私一人で治療に当たる事になりました。初診から一人で看るのは私にとって初めての経験でした。

若者は20代半ばで、身長は高くて180cmほど。顔はオリエンタルラジオのアッちゃん似のイケメンでした。

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しかし、見事な風貌に相反して、まったく元気がありません。声も弱々しく、質問しても、答えるのはほとんど付き添いで来ていたお母さんばかり。顔も土気色です。聞いてみると、逆流性食道炎に悩んでいるとの事。他にも、パニック症候群的な症状があり、仕事もままならず、長期休業中。また、新婚なのに別居中てしまっているとの事。多くの病院をまわったが、器質的な異常はみられず、手の施しようがないと言われ、現在、精神科に通って薬を飲んでいるが、全く効果がないとの事でした。

とにかく、身体の状態をみてみようと、脈をとりました。鍼灸は脈診といって、脈により身体の状態を診断します。すると、驚いた事に、脈は打っているが、力が全くなく、暖かみも無く、血液が川のように抵抗無くスルスルと流れていってしまっています。こ、これは、まるで死人のような脈!!噂に聞く死脈じゃないか?!。父ちゃん、初めての患者にしてはヘビーじゃないかい?
泣き言ばかりも言ってられません。目の前に、治療を必要としている人がいるのです。今まで学んだ知識と技術を総動員して対処していく他ありません。
東洋医学的には、完全に気が枯渇してしまっている状態だと判断しました。東洋医学では、生きていくための精気を貯蔵し、司るのは腎の働きとされています。腎が弱ると、身体が冷え、皮膚が黒ずみ、若々しさが失われます。よって、この腎の働きを復活させ、気の流れを取り戻す治療をする事にしました。
しかし、驚いた事に、鍼を刺しても全く手応えがありません。鍼にも冷たさが伝わり、まるで、スーパーで買って来た冷たい肉に刺してるかのよう。本当に死人みたいでした。全力は尽くしましたが、一回目の治療では、大きな手応えは得られませんでした。治療後、やはり無表情で帰っていったアッちゃん似の青年。しかし、治療を気に入ってくれたのか、その後、毎週治療に通ってくれるように。治療を3回、4回続けていくと、身体に変化が表れました。死肉のようだった筋肉に張りが出て来たのです。聞いてみると、最近調子が良いとの事。驚いた事に、元々やっていた水泳を再開したと嬉しそうに語ってくれました。その後もどんどん良くなり、アッちゃん似の青年は、無口だったのが嘘のように、冗談を言う明るく朗らかな兄ちゃんになりました。これが、本来の彼の姿なのでしょう。
治療を続けて半年。続いていた嘔吐も、ほとんど出なくなり、ついに職場に復帰。別居もやめ、奥さんと暮らすようになり、そして、なんと、治療一年目で、奥さんが妊娠。先日、元気なお子さんが産まれました。
私の鍼灸で、一人の青年の人生が変わったのです。これは、強烈な体験でした。
医学の研究を続け、新しい治療法を発見し、多くの人を救うのも素晴らしい事です。しかし、医療に見放されかけた患者さんに寄り添い、治療し、その人のより良い人生をおくるためのお手伝いをする事の方が、自分にとってやりがいのある事ではないか、と思うようになりました。
最新の認知科学において、宇宙は人間の認識により存在するとされています。つまり、人間一人一人がそれぞれの宇宙を持ち、その宇宙は、常に変化し続けているのです。
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わずか0.1mmの鍼、ひとつまみのお灸が、この宇宙を劇的に変えてしまう力をもっていると考えたら、こんなに興味深い事はないように思えます。一人一人の宇宙を変える事で、世界を変える。一生かけて追う目標として、かなり魅力的です。また、子供の頃の憧れにも通じるものもあります。大学院卒業後、私は迷う事無く、鍼灸の道へ進む事に決めました。

そして、このたび、幸運にも快気堂鍼灸院白石を開院させていただき、自分の理想の治療を追求する環境も整いました。
体調、健康、将来に関して、お悩みがあれば、どうぞ快気堂のドアをノックしてください。
快気堂に興味を持ち、快気堂を選び、訪れてくれた方の想いに応えられるように、技術を磨き、頭脳を鍛え、お待ちしております。

 - 鍼灸, 開業

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