札幌市の鍼灸院 快気堂鍼灸院白石で紡がれる物語

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日記 鍼灸

一周年を迎えました!〜鍼灸専門は食えないって本当!?〜

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みんさんこんにちは。札幌市白石区にひっそりと存在する小さな手作り鍼灸院、快気堂鍼灸院白石の谷地一博です。
早いもので、5月で我が快気堂鍼灸院白石は一周年を迎えました。やったー!バンザーイ!!パチパチ。
一年目から、予想を遥かに超える多くの方々に来院していただき、本当に感謝しています。
鍼灸院を続けていくというのは、非常に困難であると言われています。
こうやって、一年やってこれた事に感謝です。
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業界騒然!?鍼灸師が書いたミステリー小説。鍼灸師は食えない?

先日、『鷹野鍼灸院の事件簿』という本を読みました。
映画化もされた『完全なる首長竜』で「このミステリーが凄い!」大賞を受賞した乾緑郎さんの作品で、主人公が鍼灸師のミステリー小説です。乾さんは鍼灸師でもあるため、鍼灸の内情について非常にリアルに書かれています。その中に、鍼灸師の現状についてこう書かれた箇所があります。
”不景気はこの業界に限った事ではないが、鍼灸院の経営はどこも厳しいと聞いている。鍼灸三大疾患といわれている、肩凝り、腰痛、膝痛は完全に整形外科と職域が被るし、安くて手軽な治療を求めている患者は接骨院などに流れやすい。その上、鍼灸は未だに「痛い」「怖い」のイメージが強く、実は患者数の分母が最初からあまり多くない。そのため、大抵の鍼灸院はマッサージや指圧などの手技療法を併用して営業しているが、それはそれで整体やリフレクソロジーと競合することになる。鍼灸専業で治療院をやっていくというのは、鍼灸師としての腕前か、経営センスのどちらかが秀でていないとかなり難しいのだ” 〜乾緑郎 『鷹野鍼灸院の事件簿』より引用、一部省略〜
読んでいるだけで、鍼灸師として背筋が寒くなる思いですが、鍼灸師の先輩達から聞く話も同じような内容で、開院前、景気のいい話はほとんど聞けませんでした。特に、私が「鍼灸専門」でやると言うと、先輩の皆さんが非常に心配してくれました。
「マッサージすれば、客が来るから、とりあえずマッサージして、、」
「アロマと併用すれば、若い女性も取り込めて差別化できるんじゃない、、」
「大学院に行くくらいなら、柔道整復師の免許とって整骨院やったほうが儲かるよ、、」
「今の時代、酸素カプセルとか干渉波とか、最新の機械おいとかないと、、」
などなど。
私がこの快気堂鍼灸院を作ったのは、病院や他の治療院に見捨てられた人達が、鍼灸で快復した事に心を撃たれたからです。医療である鍼灸の可能性に惚れ込んだからです。マッサージやアロマはリラックス効果が高く、慰安としては優れていると思います。でも、慰安ではなく、医療としての鍼灸を極めて、現代医療に見放されてしまった人達の手助けをしたいという思いで鍼灸院をつくりました。そのため、当院ではマッサージもアロマも、機械による治療も一切行わず、文字通り本当の「鍼灸専門」で勝負していこうと決めたのです。

決心してみたものの、開院当初は、、、

「決めたのです!」なんて、勇ましく言っていますが、開院当初はお客さんも少なく、知り合いしか来ない日々も続きました。「マッサージはしてますか?」と訪ねてくる方も少なからずいました。「すいません、マッサージはしていません、鍼灸だけしかしないんですよ」と答えると、寂しそうに帰っていくお客さんの姿を見て、何度も心が揺らぎました。喉から手が出る程欲しい新患さんと言う事もありますが、期待に応えられなかった悔しさが胸を締め付けました。お客さんの寂しそうな背中を思い出しては、夜も寝られない日が続きました。妻がアロママッサージの資格を持っているので、やってもらおうかと考えた事もあります。でも、幸いに、一ヶ月、二ヶ月経った頃から、どこに行っても効果が出ず、病院にも見放されて困っている方々が来ていただけるようになり、その方達がまた知り合いや家族を紹介してくれて、来院数も増え、なんとか一年乗り越える事が出来ました。
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一年間という時間。生命の営み。

一年間鍼灸にどっぷり浸かって来て、鍼灸のもつ力と可能性の広大さに、増々惚れ込みました。ぎっくり腰等はすぐ治りますが、どうしても時間のかかる難病の方も多いです。それでも、信頼して来院される患者さんのために、より効果的な治療法はないかと、論文にあたったり、妻や息子に申し訳ないと思いながら、毎週のようにセミナーや勉強会に参加する日々。あっという間の一年でした。
「一年ってあっというまだなあ。実感ないなあ。これなら10年もあっという間なんだろうなあ」と思っていたある日、開院初期に来ていただいていた患者さんが久しぶりに来院されました。つわりや妊婦特有の腰痛に悩んで来院されていた彼女。元気な女の子の赤ちゃんを連れて、挨拶に来てくれたのです。治療中、お腹の中にいたあの子が、無事に産まれて来てくれた事、しばらく経つのに報告しに来てくれた事に感動し、1年やってきたという時間の積み重ねの実感も重なって、おもわず涙が出ました。
治療をするという仕事は、大きく言えば、生命の営みに関わる仕事です。大きなプレッシャーにもなります。でも、だからこそ感じられる、こういった嬉しさや喜びは、他の何にも代え難いものであると思います。そういった思いをかみしめながら、鍼灸師である事に喜びを感じ、また、治療に励んでいきたいと思います。
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