札幌市の快気堂鍼灸院白石で紡がれる物語

ドアのノックはゆっくりと

子育て

良い子育ては無意味?行動遺伝学から考える我が家の子育て論。

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12月24日、息子(6歳)幼稚園最後の発表会がありました。

万感の思いで鑑賞してきました。

同時に、様々な思い出が走馬灯のように私の頭を駆け巡りました。

息子はもともと保育園に通っていました。

2年半前、とある出来事をきっかけに、今の幼稚園に転園してきたのです。

そのとき、私たち夫婦は、子育ての大きな試練に直面していました。

運動会で動かない足

2年前の9月、保育園の運動会でのことです。

かけっこが得意な息子は、朝まで「一着になってやる!!」といい調子だったのですが、運動会の開会式から様子がおかしくなりました。

顔を曇らせ、半べそを掻いているのです。

そして、最初の競技である駆けっこで、スタートと同時に足が引きつったように動かなくなってしまいました

息子は完全に泣き出してしまい、先生に付き添われてやっとゴールしました。

その後、お遊戯は動けず、障害物競走は先生に付き添われて障害物を避けてゴール、リレーは泣きながらもなんとか走りましたが、運動会が終わるまで泣き止むことはありませんでした。

そのときのことをブログにしています。

良い母親と普通の子

大人であってもメンタルのコントロールは難しいものです。「泣きやまないのに、最後までやりきった点はすごい」くらいに私は思っていましたが、妻は非常にショックを受けたようです。

「なぜ、他の子のように普通に出来ないのか?」

「自分の育て方が悪いのか?」

「良い母親になれる気がしない」

と、妻は事あるごとに言うようになりました。

「普通」「育て方が悪い」「良い母親」というキーワードが出てくるのは、子育てにおいて危険なサインです。

母親の責任感と妄想

普通の子、良い育て方、良い母親、というのは全て妄想で、どこにも存在しません妄想と自分を比較すればするほど、苦しさが増すだけです。

ただ、私がそう説明しても、「あなたは何も分かっていない、結局、男は何もわからない」と返されてしまっていました。

妻は、息子のちょっとした事にも敏感になり、「ここが普通と違う」と、息子の心配なところを常に探すようになり、「普通って何?」という私と繰り返し衝突するようになってしまいました。

母親としての責任感が、事態を難しくしていました。

私も苦しかったですが、妻も苦しかったと思います。

転園へのいざない

転機となったのは、「転園させたい」という妻の提案でした。

「保育園が問題の根源ってわけではないから、根本解決にはならないけど、、」と私は最初に思いました。

しかし、子育てに行き詰まっていたのは事実です。

これを機会に、私は、もう一度、子育てに関する自分の理念を整理してみました。

行動遺伝学が解き明かす最善の子育てとは?

行動遺伝学という研究分野があります。人間の能力や性格を決定するのは、遺伝子なのか、環境なのかという研究です。

遺伝子が100%同じ一卵性双生児と、50%同じ二卵性双生児を比較する双生児法という実験を繰り返すことで、興味深い事実が浮かび上がってきました。

人間の一般的知能は、遺伝による影響が77%、友達など家庭外環境の影響が23%、親など家庭環境の影響が0%、だというのです。

スポーツの能力は、遺伝による影響が85%、家庭外環境の影響が15%、家庭環境の影響が0%とのこと。

つまり、親がいくら素晴らしい育て方をしても、これらの能力にはほとんど影響しないというのです。

もちろん、ひどい育て方でいいというのではなく、自分の子供が他の子供と違っても、「自分の育て方が悪いからかも」と不安になる必要はないということです。

親に出来ること

行動遺伝学から考えると、親が子供の成長に最も貢献できるのは、家庭外の環境を整えてあげることになります。

ただし、親が考える「良い環境」と、子供にあった「良い環境」というのはズレがあるので注意が必要です。

子供をしっかり観察し、その子にとってできるだけご機嫌な環境を把握しなければなりません。

親として、転園について考えるのは、息子に合った環境を探すという意味で、是非やるべきものだと思いました。

ノビノビ感

どんな環境を用意すべきか?というのは、難しい問題です。

私は、息子が自分の能力を開花し、ノビノビと育って欲しいと思っています。

ただ、「息子にとって必要なもの」を親が捜して用意すると、ノビノビ感が阻害されてしまうでしょう。

なので、ノビノビを邪魔するものを遠ざけようと考えました。

〜しなければならないからの卒業

通っていた保育園は、私も通っていたところで、近いし、それほど悪いわけではありません。

ただ、たくさんの園児を、限られた職員さん達で長時間見なければならないので、園児達にルールをしっかり守って貰う必要が出てきます。

そのため、「〜しなければならない」という言葉がどうしても多くなります。

私の考えるノビノビ感には、できるだけ少ない方がいい言葉だと思いました。

なので、「〜しなければならない」をなるべく使わないところを探す事にしました。

そして、今の幼稚園に出会いました。

成長

息子は10月に転園しました。転園してすぐ、12月にクリスマス発表会が予定されていました。

転園した幼稚園のクリスマス発表会は、市民ホールを借りて行う、かなり本格的なものです。

園児は、バレエと劇の発表をします。内容を聞くと、幼稚園児にしては難易度の非常に高いものに思えました。

正直、運動会の件があるので、息子がこなしている姿を、想像することができませんでした。

しかし、バレエも劇も、クラスの子達の足を引っ張らないレベルで披露できました。3ヶ月という短い期間で凄い進歩だと思いました。

次の年は、より難易度の高いバレエと劇に挑戦しました。

劇は20分くらいあり、セリフも動きも複雑なものでした。

それでも、こなすを越えて、きちんと演技になっていたと私は感じ、息子の成長を大いに感じました。

そして、今年です。

涙腺が故障する

くるみ割り人形の音楽に乗って、バレエの衣装を身につけた息子が颯爽と登場しました。驚いたことに、センターを任されています。

顔を見ると、自信たっぷりの笑顔でした。その笑顔を見ただけで、涙腺がバカになりました。

2年半前、泣いていたのは息子でしたが、今回は、私が泣いています。

お昼の休憩を挟んで、ハンドベルと劇が披露されました。

ハンドベルの音色で、泣くなんて、20代のバンドをやっていた頃は想像も出来ませんでした。

劇は、メッセージ性の強いものでした。

世界には想像以上に、困っている人達がいる。その人達のために、自分たちが出来ることをしよう!という、今の自分にベストマッチする内容で、最近抱いていた迷いが吹っ飛びました。

 

上演中、園児達は失敗しても、すぐにリカバーします。リカバーが遅れると、園児達で助け合います。先生達は、ほぼステージに出てきません。

クラスのみんな、個性は違うけど、お互いに思いやって、楽しくやってる雰囲気がビンビン伝わってきました。

 

最後に、息子が英語で、「将来、科学者になって、世界をより良くしたい!」と夢を語り、劇は終了となりました。

 

私の壊れた涙腺は、リカバー不可能な状態になっていました。

クリスマスプレゼント

子育てには正解がありません。

巷には様々な子育て本があふれ、みんなバラバラなことを言っています。

何を選択するかは、親にかかっています。

私が選択した「〜しなければならない」を回避する子育ては、時間がかかり、すぐには結果がわからないものです。

これで良いのか?という悩みは常につきまといます。

悩みながらも、歩みを止めることが出来ない子育て。

毎日毎時間、ヒントのない手探り状態で決断が求められます。

うまくいかないことも多いし、うまくいってんだか、いってないんだか分からないことだらけです。

そんな中、今回のような、成長と希望を感じられる出来事があると、親として救われると同時に、至高の喜びを感じます。

最高のクリスマスプレゼント、息子に感謝です。

お返しにえげつないプレゼントを要求されましたが、、、。

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