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鍼灸師と病院のコラボレーションが生み出すもの ①

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北斗病院での鍼治療研究が始まって一年が経過しました。

最新の脳科学を駆使して、鍼治療の効果を数値化しようという試みは、予想外の展開を見せ、鍼灸師の新しい未来を切り開く一大プロジェクトを生み出しました。

今回から何回かに分けて、北斗での一年を振り返りつつ、鍼灸師の未来を切り開くプロジェクトについてご紹介していきたいと思います。

未来からのメッセージ

2017年11月、一通のメッセージが私の元に届きました。送り主は、病理医の加藤容崇先生でした。

慶応大学医学部特任助教加藤容崇先生

プロジェクトの中心、病理医の加藤容崇先生

加藤先生とは、大学の研究室が一緒でしたが、研究チームが違ったので、顔見知り程度の関係でした。

加藤先生は、北海道大学医学部で博士課程修了後、ハーバード大学付属のマサチューセッツ総合病院に留学、2017年から帯広の北斗病院の所属となり、現在、慶応大学の特任助教を兼任という、鍼灸師である私とは接点のない、物凄い経歴を歩まれていました。

その加藤先生がなぜ?ドキドキしながら開いたメッセージにはこう書いてありました。

「脳科学で、はりの効果を研究しませんか?」

研究の始動

それからトントン拍子で話は進み、2017年12月から、MEG(脳磁図記録装置)を使った鍼(はり)治療の研究がはじまりました。

MEGは脳科学でも最先端の装置です。数億円します。大学で利用しようとしたら、一回の計測に4〜6万円かかります。それを鍼の研究に使うというのですから、とんでもない研究です。

非常に幸運だったのは、北斗病院の精密医療センター長で、日本でもトップのMEG研究者である鴫原良仁先生と、腕利きの技師である岡田豊治さんの協力を得られたことです。

鴫原良仁先生、MEGの世界的研究者

MEG研究の第一人者、鴫原良仁先生

MEG技師、岡田豊治さん

左・腕利き技師の岡田豊治さん、右・亮鍼灸院の永田亮太先生

鴫原先生には、予備実験で実際に鍼治療を受けてもらいました。効果を実感していただけたようで、鴫原先生への鍼治療が毎週の恒例になりました。

病理医・科学者・検査技師・鍼灸師と役者が揃い、前代未聞の実験がはじまりました。

研究は、予想外のことが次々と起き、加速していきました。

科学的研究にベストマッチ

自分の鍼の技術である整動鍼は、予想以上に科学的研究とマッチしました。

鍼の施術方法は会派ごとに全く違います。

私は整動鍼という技術を使っています。整動鍼は、一本鍼をするごとに効果を確認します。鍼をするツボの位置をミリ単位で検証しており、作用する先も詳細に把握しています。鍼一本で、狙った変化をほぼ100%出せます。

MEG室内で鍼施術する谷地

研究する前、加藤先生は、鍼治療とは鍼を10本以上して、時間もかかるものだとイメージしていたようですが、一本鍼をして効果を確認する整動鍼は、科学的研究と凄くマッチしました。

鍼をしてすぐに効果が出るのも研究をやりやすくしました。

想定外のスピードで実験数が重ねられていきました。

病院の信頼

自分の予想以上に早い段階で、病院内での信頼を得ることができました。

当初は、職員さんを被験者として、実験がすすめられました。

毎回結果を出すことで、鍼治療は、病院側の期待以上に効果が高く、応用範囲が幅広いことを知ってもらうことができました。

北斗病院

噂は病院のトップである理事長の耳に入り、理事長から直々に、実際の患者さんに治療対象を広げる提案をされました。

そこから、ガン患者さんの麻薬でも抑えられない痛みを初めとして、病院の治療では解決しきれない症状に対しての施術と研究がはじまりました。

難しい症状に取り組んでみえてきたもの

難しい症状への治療は想像以上に結果が出ました。

結果が出ると、医師も、患者さんも、技師さんも、看護師さんも、科学者も、鍼灸師も、立場や自尊心をどこかに置き忘れて、手を取り合って喜びました。

この研究の中心に「患者さんのために」という強い想いがあることを、しっかりと認識しました。この想いがあるからこそ、病院としては異質な鍼の研究が可能なのです。

未来への「かけはし」

想定外のことは続きます。

4月のある日、被験者の一人として、北斗病院グループの介護老人保健施設「かけはし」で現場を仕切る若きリーダー品田慶太さんがやってきました。

中央・品田慶太さん、左・北郷通りはり灸整骨院の山本先生

腰痛と便秘の訴えを、いつも通り鍼で解決すると、「相談したいことがある」と言われました。

老健施設で最大の問題は、利用者さんの便秘とのこと。これを鍼で解決できないか?という相談でした。

そこから、かけはしと共同で、鍼治療による便秘の研究がスタートしました。

下剤を使っても、浣腸しても、便が出ない年配の方達に、鍼1本してデータを採っていきます。

結果として、ほぼ全員に排便数の増加が認められ、下剤を卒業出来る方もいました。看護師さんや理学療法士さんの協力で、興味深い知見が数多く得られました。

鍼灸師の未来へ

鍼灸師の未来について相談

加藤先生と鍼灸師の未来について画策

この頃になると、鍼治療を受けたり、効果を目の当たりとした医師を初めとする病院関係者の方達が、こう思うようになりました。

「なぜ、こんなに利点の多いものが、患者さんにきちんと提供されていないのだろう?」

その疑問から、鍼灸師の未来を創り出す一大プロジェクトが生まれたのです。

つづく

つづき
鍼灸師と病院のコラボレーションが生み出すもの ②

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