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NHKスペシャル「腰痛・治療革命」を見て。(前編) 知っておきたい腰痛2つの新常識

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NHKスペシャル 「腰痛・治療革命」

遅ればせながら、NHKスペシャル 「腰痛・治療革命~見えてきた痛みのメカニズム~」を見ました。

最近、当院に来られる何人もの患者さんが、「先生、NHKの腰痛のやつ見た?どう思う?」と口々に言うのです。テレビで放送される医療系の情報番組は、正直、信ぴょう性に乏しく、不安を煽るだけのものが多いので、見ないことにしているのですが、患者さんに何度も言われると、気になります。

残念ながら、我が家のテレビは息子に占領されて、「クレヨンしんちゃん」専用になってしまっています。しかし、腰痛治療専門家のはしくれとして、患者さんの疑問に答えるのは大事だ!と決意し、NHKオンデマンドで、泣く泣くお金(250円)を払って見ました。

腰痛治療については、目新しいことはありませんでしたが、番組は非常に丁寧に作られていて、分かりやすかったです。

番組を見ていて、気になったことが幾つかありました。また、鍼治療(古武術鍼法)と活法が腰痛治療にこれだけの効果をもたらす理由についてもヒントがありましたので、今回は、番組のポイントを含めて、その辺のことについて書いていきたいと思います。

 

腰痛・治療革命で語られた「痛み」が発生するメカニズム。

「腰痛の原因は脳にある」というのが今回の番組のポイントでした。これを理解するには、まず、痛みのメカニズムについて知らなければなりません。痛みというのは次のような順序で発生します。

2015年07月19日20時06分27秒_0001

人生初のイラストに挑戦したので、拙い部分もあると思いますが、とりあえず上の図をご覧ください。まず、怪我や病気によって、これ以上動かしたり、働かせたりするとヤバイ部分ができます。(大事なのは、この時点では痛みはないということです。タンスの角に小指をぶつけて、痛みを感じるまでにタイムラグがありませんか?)

次に、その信号は神経を伝って脳に行きます。情報を受け取った脳は、これ以上患部を動かしてヤバイ状態になったら困るので、興奮して「痛み」という情報を作り出します。ここで初めて痛みが出現します。

患者さんは、痛みがあるので患部を無意識に『動けない』ようにします。結果、回復が早くなります。かなり単純化してますが、これが「痛み」が発生するメカニズムです。

 

腰痛・治療革命「原因は脳にある」。

次に、痛みが消えるメカニズムです。人間には自然治癒力がありますので、怪我や病気は時間が経つと治ります。ただ、怪我が治っても、脳が興奮したままでは「痛み」は発生し続けてしまいます。そこで、DLPFCという脳の前頭前野にある部分が働いて、脳の興奮を収め、「痛み」がなくなるのです。

2015年07月19日16時41分19秒_0001

このDLPFC、ストレスに弱いという弱点があります。一度、強い腰痛を体験した人は、「あの痛みが、またきたらどうしよう?」と不安を抱いてしまう傾向があります。この、不安がストレスになり、DLPFCが働かなくなり、脳の興奮をうまく抑えられなくなるため、痛みが発生してしまうのです。

2015年07月19日16時41分19秒_0003

これが、慢性腰痛の原因です。痛みは脳で感じるものなので、腰痛だけではなく、すべての慢性痛がこれに当てはまるといってもいいでしょう。

これが、今回の番組のポイントで、それに対して、原因である不安を取り除くための治療が紹介されていました。

番組を見ても分かる通り、腰痛に関する常識は、ここ数年でガラリと変わりました。以前の常識は、誤っていたことになります。

何が誤りで、何が新常識なのか、知ることで、腰痛に襲われた時、適切な対処ができるはずです。

そこで、なぜ、腰痛が起きるのかを中心に、腰痛の新しい常識の重要なポイントを2点、お伝えしたいと思います。

1.「痛み」を作り出す犯人は誰?腰痛・治療革命から考察

日本人の4人に1人は腰痛に悩んでいるといいます。総合病院である北大病院の外来を訪れる患者さんで、一番多いのは腰痛の患者さんでした。しかし、国民が一番悩んでいる腰痛について、お医者さんは原因を2割しか特定できません。残り8割は原因不明なので、痛み止めや湿布を出すことしかできないのが現状です。

原因がわかる2割については、ヘルニアや脊柱管狭窄症などと診断して、場合によっては手術をします。しかし、ヘルニアは腰痛に関係ないということが分かってきました。調べてみると、成人男性の7割にヘルニアが見られるが、腰痛を感じているのは2割にすぎないと研究結果が出ています。そのため、ヘルニアは腰痛の原因ではないという見方が、現在の主流になっています。

お医者さんが痛みを作る?

2割のうちの多くを占めるヘルニアが原因ではないとすると、お医者さんは腰痛についてほとんど原因を特定できない状態にあることになります。エビデンスを重視する現代医学は、原因がわからないと、治療ができないという弱点があります。

しかし、腰痛の患者さんはひっきりなしに病院に来ます。「原因がわからない」では、患者さんも納得できません。お医者さんも「わからない、何もできない」と言える人は少ないでしょう。そこで、ヘルニアっぽい椎間板、すべり症かもと若干疑われる腰椎のずれ、姿勢の悪さななど、実際は腰痛には全く関係ないはずの小さな異変を原因の一つとして挙げてしまうということが起きます。

原因が作られた途端、患者さんは不安になります。不安は脳の興奮を抑えるDLPFCを機能不全に追い込み、「痛み」を引き起こします。

さて、「痛み」を作っている犯人は、誰でしょうか?

犯人は複数犯?

お医者さんだけではありません。我々は、痛みの原因を作ってはいないでしょうか?

当院にいらっしゃる患者さんも、「骨盤がゆがんでいると言われて」とか、「腰椎が滑りぎみと言われて」などと、不安を訴える方が多くいます。誰に言われたかと聞くと、お医者さんや、整体院や整骨院の先生だったり、美容師さんだったり、テレビ番組や、雑誌の特集だったりします。

不安を持たせて「痛み」を作り、治療に頻繁に来させたり、健康グッズや薬品やサプリを売りつけたり、商売としては美味しいかもしれませんが、医療者としてはどうでしょうか。

自戒を込めて気をつけなければならないと思います。その点、現在私が取り組んでいる活法や古武術鍼法は、その特徴から、この問題を乗り越える力を持っています。この特徴については、後ほど述べます。

 

2.腰痛・治療革命「本当の腰痛の原因は?病院で原因が特定できない理由。」

番組では、腰痛の原因が脳にあるとしています。しかし、これは発症後3ヶ月を越える慢性腰痛についての話です。番組では、その点の説明が十分ではないので、急性腰痛(発症から4週間未満)と慢性腰痛の区別をはっきりさせたほうが良いと思います。

急性腰痛とは発症から4週間未満のもの。亜急性腰痛は発症から4週間から3ヶ月のもの。慢性腰痛は3ヶ月以上経過したもの、とされています。時系列の流れとしては、『ぎっくり、イタタタ』が急性腰痛で、時間の経過とともに亜急性となり、3ヶ月経過しても治らないと慢性腰痛になります。

ギックリ腰の原因は、ずばり、、、。

では、そもそもの腰痛の発端となる急性腰痛(いわゆるギックリ腰など)の原因はなんなのでしょうか。

それは、ずばり、筋肉です。

私の臨床の経験上、腰痛の9割以上に筋肉になんらかの異常が見られます。そして、この筋肉の異常を解消してあげると、ほとんどの腰痛が改善します。なので、筋肉の異常が腰痛の原因の多くを占めると私は考えます。

「あれ、腰痛の原因って8割不明なんじゃ?」「臨床上の経験って、証拠として弱くない?医学的、科学的にはどうなの?」と思われる方も多いとおもいます。でも、ここにこそ、今までの腰痛治療の問題点が隠されています。

腰痛・治療革命で紹介された「原因不明8割、腰痛が病院でよくならない理由。」

その問題点とは、「今の医学や科学で痛みの原因となる筋肉の異常を正確に評価する手段がない」ことです。みなさん、腰痛で病院に行ったら、なんの検査をしますか?

まず、検査といえば、レントゲン、CT、MRIだと思います。レントゲンやCTは骨についてはバッチリわかりますが、筋肉は、はっきりと映らないので、わかりません。MRIも筋肉は写りはするので、断裂などしていれば分かるかもしれませんが、それ以外の腰痛の原因となる筋肉の異常はわかりません。

検査機器で異常が発見できなければ、現代医学では原因が特定できません。現代医学の限界がここにあります。また、検査する手段がないので、医学的、科学的データも集めることができません。だから、私も、臨床の経験上でしか、今のところ語ることができないのです。

腰痛・治療革命で紹介された急性腰痛、有効な治療法

今回の番組では、冒頭1分ほどで急性腰痛について触れています(1分で急性腰痛、残りの40何分を慢性腰痛といったアンバランスさは、ちょっと問題があると思います、もうちょっと急性腰痛についての説明もあるべきでは、、、。)。

その中で、筋肉をエコーで検査して、治療に生かしている医師も紹介されています。ただ、こういった取り組みは始まったばかりで、実施している医師も少なく、データも十分ではありません。また、エコーで観察できるのは筋肉の厚みだけなので、痛みの原因を特定するには不十分です。方向性は合っていると思います。結果も出ているのも頷けます。

ちなみに、筋肉の異常に対して、鍼治療はかなりの効果をもたらします。番組でも紹介されていましたが、慢性腰痛に対して医学的推奨度がグレードBとなっていて、なんと!手術と同程度の推奨度となっています。腰痛で痛みを抱えてる皆さま、手術を考えているならば、まず鍼治療を受けてみてはいかがでしょうか。

腰痛治療表01腰痛ガイドライン2012より

 

『痛いから動かない』のではなく、『動かないから痛い?』

さて、この筋肉の異常、なんの異常だと思いますか?それは、動きの異常です。『痛いから動かない』のは当たり前じゃん!!と思うかもしれません。しかし、私が現在取り組んでいる活法や古武術鍼法では『動かないから痛い』と考えます。

活法、そして古武術鍼法は、この筋肉の動きに特化した特徴を持っています。これらを駆使し、動きの異常を改善してあげると、痛みがなくなります。

急性腰痛だけでなく、慢性腰痛のほとんどにも筋肉の動きの異常がみられます。そして、その異常を解決すると、慢性腰痛であっても痛みが治ります。

こういった結果を目の当たりにすると、『動かないから痛い』→『動けば痛くない』と言うのが疑う余地がないように思えてきます。私も、この辺のことは、ぼんやりと捉えていたのですが、今回の番組の、『腰の痛みは脳が原因である』こと、そして、認知運動療法が慢性腰痛には効果的であるといった内容を見て、活法、古武術鍼法がどうして、腰痛にこんなにも効くのかということがはっきりしてきました。

 

長くなりましたので、後編に続きます。

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