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鍼灸をめぐる冒険(3)冒険の地図を手に入れろ〜医療と慰安〜

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)のつづき

冒険の地図を手に入れろ

世界に一つのお宝「快気堂鍼灸院でなければならない理由」を手に入れるためのハードな冒険がはじまりました。

冒険の旅に出かけるには、地図が必要です。

自分がどこにいてどこを目指すのかがわからないと、さすらいの旅となってしまい、お宝獲得に成功する確率は宝くじで一等を当てるようなものになってしまうでしょう。それなら宝くじを買った方がましな気がします。

では、今回の冒険にはどんな地図が必要なのでしょうか。

治療院の緯度・経度

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地図には緯度・経度があります。これがあるから、位置を知ることができます。

治療院の方向性を考えるとき、この経度・緯度に何を当てはめるかで、冒険の様相がずいぶん変わってきます。さんざん試行錯誤しましたが、医療と慰安(リラクゼーション)の視点を経度・緯度に設定したところ、ずいぶん見通しが良くなりました。

医療と慰安の区別というのは、治療院の価値を見極める際、非常に重要な視点となります。

しかし、一般の人はもちろん、鍼灸師を含めた治療業界に関わる者の多くも、この区別の重要性について気がついていないのが現状です。偉そうに言っていますが、私も全くわかっていませんでした。

開院する際、漠然と「医療をドカっと中心に据えながら、慰安的要素も兼ね備えた治療院って最強じゃね?」なんて思っていました。

しかし、実は医療と慰安って性質上相性が良くないのです。

慰安=現状の肯定

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慰安という言葉は「慰み」と「安らぐ」という文字からできています。自分の辛さを受け止めてもらい、日頃たまったストレスを発散させ、心安らかにするという意味合いが込められています。

慰安は、心地よさ、気持ちよさを感じて満足してもらうのが中心となります。

そこにあるのは「現在の自分の完全なる肯定」です。今の自分を丸ごと受容してもらうからこそ、気持ちよさと心地よさが生み出されるからです。

そのため、ああして欲しい、こうして欲しいというお客様の欲求が優先され尊重されます。

治療の戦略としては、ストレスを軽減することで、身体にじっくりと良い影響をだしていこうというものになり、自然と治療期間は長くなります。また、気持ちよいので、できるだけ長く受けたいと考える人が多く、治療時間は長いのが喜ばれます。

しかし、気持ちよいこと、心地よいことが必ずしも身体にいいとは限りません。イタ気持ちよいマッサージが身体に悪い事もわかっています。

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それでも、強いマッサージを提供する店が後を絶たないのは、「強くもんでもらって気持ちよくなりたい」というお客様の要望が、慰安では最優先されるからです。

医療=現状の打破

これに対して、医療は、一刻も早く治ることを最優先とします。

治るということは、症状を持っている今の自分を変えるということです。現状維持では治らないから医療を受けるはずです。

現状を打破して目指すのは「未来の自分の人生の価値を高める」ことです。痛みや辛さが解消されることで、仕事に集中できたり、家事が快適にこなせたり、精神的余裕を持って育児ができる、そういった未来を手にするのが目的です。

そのためには、「今の自分を否定される」場合も多くなります。

「現在の自分の完全なる肯定」がテーマの慰安とは正反対ですよね。

医療では、気持ちよいかどうかは重要ではありません。

手術が気持ちよいでしょうか?抗生物質を飲み続ける行為は心地よいでしょうか?MRIはリラックスできますか?

意図的に不快にする必要はありませんが、病を克服し「未来の人生の価値を高める」ためには、厳しさが必要になる場合も多々あるのです。

そのため、医療は治療期間と治療時間をできるだけ短くすることが求められます。少しでも長い時間採血して欲しい「もっと!もっと!血を抜いて!」なんて人はほとんどいないはずです。

できるだけ長く味わっていたい慰安とは真逆になります。

アドバイスの違和感

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開院当初、あるいは、患者さんが来なくなってから、多くの方から様々なアドバイスをいただきました。

・鍼は怖い人が多いから、マッサージを前面に出した方が良い。

・アロマやヘッドスパなど、他の手技療法を組み合わせた方がお客さんを呼べる。

・治療後にお茶やお菓子を出して、顧客満足度を上げるとリピート率が上がる。

・フットマッサージ器やフットスパがあると女性受けが良い。

・ウォーターベッドや酸素カプセルがあると目玉になるし、時間を稼げる。

・施術メニューを充実させ、お客さんに好きなものを選ぶ楽しみを味わってもらう。

・ゴージャスな内装で非日常的な雰囲気を楽しんでもらう。

・治療時間を長くとって、お客様とのプライベートな会話を重視する。

などなど。

どれも、正しく的確なアドバイスでしたが、私にはしっくりきませんでした。

いただいたアドバイスは「こういうのがあったらいいなあ」というお客様の気持ちを的確に代弁したものです。つまり、慰安としての正解です。

私の鍼灸師としての原点は、病院で見放された青年が鍼灸治療で回復したという経験です。自然と医療的な鍼灸を目指したいと思うようになっていました。そのため、アドバイスに違和感を感じたのです。

医療と慰安、どちらを採用すべきか?

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医療と慰安、どちらも重要です。どちらが良いとか悪いということはありません。しかし、性質上、両方兼ね備えようとすると無理が出てきます。どちらかに、特化することが大事です。

当院は、中途半端な状態でした。医療をやっていると自分ではいい気になっていましたが、実態としては、患者さんに気に入られようと、慰安的な要素がほとんどを占める状態になっていました。

もちろん、慰安に特化したっていいんです。鍼灸治療はどちらでもできる可能性を持っています。

しかし、慰安業は競合が数多くあります。鍼灸院だけでなく、マッサージ、整骨院、整体、カイロ、エステ、アロマ、ヨガ、健康教室系、一部の病院、などなど。

大手も多く、苦しい戦いが予想されます。ましてや、鍼を刺すという行為は他のマッサージなどに比べて、リラクゼーションをイメージしてもらうのに随分と不利だと思います。

対して、本当の意味での医療的な治療院は多くありません。そういう経営スタイルでやっていくには相当の勇気が必要だからです。「あそこ嫌だけど、治すためには行かなきゃいけない。」そんな存在になることは可能なのでしょうか?

しかし、もし、そういう風になれるのならば、他の施術に比べて、強力な医療的効果を持つ鍼灸こそが有利な立場になれるはずです。競合もほとんどいないので、独占的存在になれるかもしれません。

そう考えた私は、医療的な方向へ思い切ってシフトしていく決心をしました。中途半端は最悪です。

ただ、医療的な視点で見直してみると、私の治療院は問題だらけでした。治療法さえ、根本的に見直す必要が出てきたのです。

つづく,,,,,()

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