札幌市の快気堂鍼灸院白石で紡がれる物語

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肩こり 鍼灸

揉むほど悪くなる?本当は怖い「肩こり」の危険なマッサージとは

更新日:

みなさん、肩こりに悩んでいませんか?

平成25年の厚生労働省の調査で、自分に不調があると自覚する人達に、悩んでいる体の不調について聞いたところ、多かったのは、男性は1位が腰痛で2位が肩こり、女性は1位が肩こりで2位が腰痛でした。

男性有訴率女性有訴率

厚生労働省 国民生活基礎調査(平成25年)より

もはや、国民病といえそうな肩こり。医学的な定義を見ると、「首の後ろから肩、背中にかけての筋肉のコリ感(張り感、こわばり感)を主体とした不快感の症候群」とされています。

そんな小難しい説明をしなくとも、肩こりに悩む方は、肩に手を伸ばして触れば、コリコリした固~い箇所があって、これだよ、これ!とすぐわかる感じだと思います。

思わず、グイーッと押して、マッサージでコリをほぐしたい気持ちになります。快気堂鍼灸院でも、「先生、ここグイッとやってよ!」と言われたりします。

しかし、私は、決してそこに強い刺激を加えません。なぜなら、硬いコリに強い刺激を加えると、悪化するからです。

肩こり研究で著名な遠藤健司氏(東京医科大学整形外科講師)、三原久範氏(横浜南共済病院脊椎脊髄センター長)も、強く押したり揉んだりするマッサージで、肩こりが悪化すると、再三警告しています。

そんな馬鹿な!グイっと押してみて、よくなった経験があるよ!と思われるかもしれません。

しかし、肩こりについて知れば知るほど、強いマッサージはタブーであることがわかってきます。

肩こりの正体

肩が凝っている部分に触れると、他の部分とは違った固〜い塊があります。この塊の正体は、過度に緊張した筋肉です。筋肉は縮んで緊張することでパワーを発揮し、我々は体を動かすことができます。力を緩める時は、筋肉は緊張を解き、しなやかに伸びなければなりません。

しかし、何らかの原因で、一部の筋肉の緊張が解けなくなった状態が続くと、コリになります。

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コリができると、次のような影響が出てきます。

まず、コリは、筋肉が過度に緊張し、グイーッと力が入り続けている状態です。そのため、血管が圧迫され、血流が悪くなります。

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リキんだ状態が続くので、乳酸やリン酸などの疲労物質がたまり、ダルくなってきます。さらに、緊張が続くと、筋肉の組織が壊れ始め、ブラジキニンなどの痛みを生み出す発痛物質もたまってきます。

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本来ですと、血液が、これらの疲労物質や発痛物質を流し去ってくれるのですが、過度の筋緊張によって血流が悪くなっているため、流れていかず、どんどん溜まっていってしまいます。

結果、ダルさや痛みが増します。筋肉は、痛みがあると防御反応で緊張し、より硬くなることがわかっています。

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つまり、『筋緊張→血流悪くなる→疲労物質・発痛物質が溜まる→ダルさや痛みが強くなる→筋緊張が増す』といった負のスパイラルが完成してしまうのです。ここから抜け出せなくなった状態が続いているのが、重度の肩こりなのです。

 

肩こりを強くマッサージすると

この、負のスパイラルに陥ったコリをグイッと押すとどうなるでしょう。

ただでさえ傷んでいる組織です。

これ以上の刺激はたまらないと、筋肉は防御反応で緊張を増し、ますます硬くなります。

スポンジボールよりも、ゴムボールの方が押しやすいように、筋肉は硬くなると、押しやすくなります。押しやすくなるということは、考えている以上に強い力を加えてしまう可能性が高まります。そんな状態で、グイッと押し込むと、組織が壊れ、痛みが増します。

 

壊れた筋組織は、生きている限りは修復されます。しかし、修復の時に繊維化という変化が起きて、より固い筋肉になってしまいます。

強いマッサージで肩こりが楽になったと感じる理由

「でも、押したら、楽になった経験があるよ!」と思われるかもしれません。

そう感じるのは、次の二つの理由によるからです。

一つ目は、強く押されて組織が壊れると、それを修復しようとして、血流が増加します。いわゆる炎症です。血流が増加したので、疲労物質や発痛物質が流されていき、一時的に痛みやダルさを感じなくなります。

二つ目は、組織が壊れると、痛みの信号が脳に伝えられます。あまりに痛みの信号が強いと、脳がおかしくなってしまうので、脳はβーエンドルフィンなどの脳内麻薬を放出し、痛みを感じないようにします。凝っているところを強く押して、『イタ気持ち良い』と感じるのは、この脳内麻薬のせいだと考えられます。

この脳内麻薬、麻薬というだけあって、癖になります。「もっと、もっと!」という状態になり、どんどん刺激は強くなり、どんどん組織は壊れていき、ますます筋肉は硬く盛り上がっていきます。

一時的に良くなったような気になっても、すぐに元に戻ってしまう、あるいは、よりひどくなっていく理由は、こういうところにあるのです。

 適切なマッサージは体に良い

適切なマサージは筋肉の緊張を緩め、血流を改善することがわかっています。脳内にもオキシトシンやセロトニンなどが出て、抜群のリラックス効果をもたらすことがわかっています。

しかし、ここでいうマッサージとは、ヨーロッパスタイルの刺激がほとんどないマッサージです。実験でも、刷毛で撫でるような圧力が最も効果的であることが明らかにされています。

アジアで好まれる、「イタ気持ちよい」マッサージとは全く違うのです。「イタ気持ちよい」マッサージは、逆に筋肉の緊張を高め、筋組織を壊し、交感神経が優位になり、中毒性の高いβーエンドルフィンが出ます。

適切なマッサージが普及しない理由

医学的な知識のあるマッサージ師はこのことを知っています。しかし、なぜ、それをやらないのか。

それは、お客さんがそれを求めないからです。

「肩こったな、マッサージでもしてもらうか」と店を訪れたお客さん。撫でるようなマッサージだけで終わると、「金返せ!」とか「手を抜くな!」とクレームになることが多いのです。

さらに、「イタ気持ちよい」マッサージをすると、コリはより悪くなります。悪くなるので、また、お客さんは来てくれます。そして、より悪くなり、、、、といった、集金システムが出来上がります。

正しいことして、怒られて店が潰れるくらいなら、集金システムを選ぶのもしょうがありません。

巷にあふれる、指圧・整体・マッサージ・鍼灸整骨院のほとんどは、リラクゼーション(慰安)を目的としています。リラクゼーションとは、気持ちよさを提供するところです。結果、体に悪くても、気持ちよければいいのです。

体に悪いけど、気持ち良いから癖になるなんて、タバコみたいですね。

気持ちよさを求めるなら、「イタ気持ちよい」マッサージを受けるのは問題ありません。しかし、あまりにも悪化した肩こりの場合は、頭痛やめまいなどの二次的な症状の元になるので、注意が必要です。

肩こりは、どうすればよいか?マッサージに頼らない改善法

では、どうすればよいのでしょうか。

自分でできる範囲では、撫でるようなマッサージ、そして、肩甲骨の動きを良くする運動があります。

目的は、肩甲骨周りの血流を良くすることです。大事なのは、頑張りすぎないことです。物足りなくても、決して力を入れ過ぎないでください。悪化します。

ただ、あまりにも悪化してしまった肩こりには、これだけでは対処できません。適切な治療が必要です。

肩こりの原因は、筋肉の緊張です。鍼であれ、整体であれ、この緊張を、患部に刺激を加えず緩める手技を持っている治療院で施術を受けることをお勧めします。

患部に触れず、肩こりは治せるのか?と疑問に思うかもしれませんが、肩こりの原因は、意外にも、肩にないことが多いのです。原因さえ特定してしまば、ゴッドハンドのような手技でなくても、肩こりを解消することができます。

肩こりの原因を知ると、強いマッサージでは改善しない理由が分かる

なぜ、肩に慢性的な緊張(コリ)ができるのでしょうか?

それは、身体の動きの歪みに原因があります。

健康な人が身体を動かすとき、全身の筋肉が連動してなめらかに動きます。

しかし、ケガや、使いすぎ、あるいは運動不足などにより、手や足などの緊張がとれなくなると、身体の動きに歪みが出来ます。

肩は、身体全体の動きの集約地点です。身体の動きに歪みがあると、肩の一点に負担が集中し、緊張がとれなくなります。

これが肩コリの正体です。

肩こりを原因から解決するには、強いマッサージは必要ない

原因が、他の所にあるため、肩こりにいくら高度な治療をしても、すぐにぶり返してしまいます。

逆に、肩こりの根本原因である、手や足の不自然な緊張を緩めてあげると、肩こりが根本から解消し、再発しない身体になっていきます。

鍼治療は、この緊張をピンポイントで緩めるのに適しています。

身体への余計な刺激は、身体の負担になり、回復を遅らせます。

鍼治療であれば、肩こりに対して、短期間で再発しない身体に調整することも可能です。

肩こりは悪化すると、頭痛やめまい、吐き気、難聴、耳鳴りなど難治性の症状にもつながっていきます。

マッサージなどで改善するような肩こりであれば、問題ありませんが、もし、いろいろな方法を試しても、なお改善されない場合は、専門の鍼灸院にご相談することをオススメします。

肩こり治療専門の鍼灸院

肩凝りイラスト006当院の肩こり治療についてはこちらご覧下さい ≫ 肩こりの治療 | はりきゅう専門 – 快気堂鍼灸院白石 |

この記事を書いたのは

突発性難聴 問診

谷地一博(快気堂鍼灸院白石院長)

鍼灸師、医学修士、北斗病院鍼治療センター主任鍼灸師

肩こり、腰痛、肘膝など運動器系の不調の他に、突発性難聴、耳鳴り、めまい、頭痛、偏頭痛などの症状も得意としています。他の医療機関で回復がみられなくても、一度ご相談ください。

 

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