(8)のつづき
理想高すぎる系?
スー◯ーライザーを買わずに浮いたお金を自分の鍼灸技術を上げる自己投資に使おうと決めた私。
気になる治療法のDVDや書籍を片っ端から購入し、可能な講習会があれば、とにかく参加してみました。
中医学、トリガーポイント、陰陽大極療法、経絡治療の様々な流派、山元式新頭鍼、朱氏頭皮針、経筋療法、長野式、深谷灸法、脈診流、北辰会、奇経治療、ダイナミックロトセラピーなどなど。
どれも、名の通った素晴らしい治療法や治療哲学だと思いますが、私が必要とするものとは何かちょっと違うと感じていました。
なにせ求めているものが、
・運動器疾患に強い
・施術者にも患者さんにもすぐわかるくらいはっきりとした効果がその場で出せる
・他の治療法には無い特徴がある
・出来るだけ早く習得できる
・近隣に熟達した競合が存在しない
という、とんでもなく都合のいい条件です。そんなものが存在するのか疑わしいレベルです。
・身長180cm以上で〜
・年収2000万円ぐらいあれば〜なんとかなるかな〜
・私のわがままを全部聞いてくれる包容力があって〜
・いつも一緒にいてくれる人!
と理想の結婚相手について語る、夢見る女子と変わらないレベルです。
大体、有名なものって、すでにやってる人がたくさんいるから有名なんですよね。今からはじめて、今までやってきた人達と肩を並べる技術を習得し、患者さん達に自信を持って私を選んでもらえる状態になるのに、どれほどの時間がかかるのかを考えると途方に暮れました。
鍼灸技術二つの傾向
ドクターショッピングならぬ、技術ショッピング状態で、施術法漁りをしているうちに、鍼灸技術は、理論系と特効系という、ざっくりと大きな二つの傾向がある気がしてきました。
理論系は、理論体系がしっかり完成していて、どんな症状でも、それに基づいた分析は完璧に出来る感じのタイプです。ただ、実際にそれをどう治療につなげるかという所で大きな飛躍があり、そこを経験やセンスで埋めていかなければならず、習得には時間がかかるという印象を持ちました。
さらに、そういう理論系は、どちらかというと全人的な治療へと向かっていく傾向があるので、結果として、私がやっていた経絡治療と差を出しにくいという問題も感じました。
特効系は、「四十肩にはこのツボ」とか「寝違いにはこのツボ」など、こんな症状の時はこうしたら良いという、個別の対症療法的な部分が強く、運動器疾患にも強い感じのタイプです。ただ、この場合、個別の理論には目を見張るものがありますが、統一的な理論となると、もう一歩な感じで、症状がその型にぴったりはまれば良いのですが、そうで無い場合の応用が難しく、治療法の中心に据えるには心許ない感じがします。
迷える者の晩餐会
そんな感じのため、いろいろ試してはみるものの、結局、臨床では、慣れた経絡治療を選択することが徐々に増えていき、新しい治療法は使わなくなってしまうという事を繰り返していました。
そんな状況で、経営状況は好転するはずも無く、支出が収入を上回った状態が続き、頼みの貯金も減っていきます。大海原の中で、補給のめども立たず、いたずらに船の燃料ばかりが消費されていくような、逃げ場の無い緊張感が私を襲います。
妻が、夕食の時「私、外でアルバイトしようかな」と話すようになりました。
その光景を不思議そうに見ている息子のまなざしが、「パパ、ママ、大丈夫?」と訴えている気がして、なんとも、つらい気持ちになりました。
髀肉の嘆
「三国志演義」という中国の有名な歴史物語があります。大昔から中国や日本で愛されてきたお話だけあって、故事や諺の元になっているエピソードが満載です。その中に「髀肉の嘆」という有名なお話があります。
漢王室の血を引くものとして、「落ちぶれた漢帝国の再興をしたい」と志を抱いて仲間達とともに立ちあがった主人公の劉備玄徳。
しかし、同時代には、曹操孟德という怪物的天才がいました。
全ての点で勝る曹操軍に、人徳だけが取り柄の劉備達は連戦連敗。
治める土地も失い、流浪の末に劉表というお金持ちの所で居候状態に落ち着いてしまった劉備。
対して、曹操は、天下をほぼ手中に収め、中国統一が現実的に見えてきていました。
正直、誰が考えても、曹操に対抗できる手段は存在しないような状況で、劉備はパーティー三昧に明け暮れます。
そして、月日が経ち、劉備は、繰り返される暴飲暴食と、運動不足で、いつのまにか馬に乗るのも難儀するくらい太ももに贅肉がついてしまった自分の姿に驚き、現在の自分の惨めな有様を嘆き悲しんだ、というのが髀肉の嘆のエピソードです。
若いころ三国志を読んだとき、このエピソードの意味が全くわかりませんでした。「志の高さと人徳がウリだった劉備が、何で急に危機的状況で遊んでんだよ」と納得できませんでした。しかし、今、自分がこういう状況になって、「ああ、八方ふさがりの中、劉備は現実逃避してんだなぁ」ということが痛いほどわかります。
私も、時間だけはあるので、パーティーこそしませんでしたが、ネットサーフィンで現実逃避するようになっていました。
ネットの海の中で
よせばいいのに、経営がうまくいってない鍼灸院のサイトや2chを見て、「あそこよりはいいや」と安心しようとしたり、逆に「うちもこうなる運命なのか」と、より不安になったりするなど、意味の無い時間の浪費を続けていました。
そんなネット浸り生活を続けるうちに、いつしか、私はあるブログを夢中になって読むようになっていました。
それは、クリ助という人が書いている「鍼灸師のツボ日記」というブログでした。
そこには、「活法」そして「整動鍼」という、今まで見たことも聞いたことも無いような治療法の、新たな世界が書かれていました。
三国志の劉備は、一番苦しいときに、諸葛亮孔明という運命の軍師に出会い、「天下三分の計」という奇策を得ることで、再び中華の覇権を争うプレイヤーとして復活しました。
さて、クリ助は、私にとっての孔明となるのでしょうか?そして、「活法」と「整動鍼」は劉備にとっての「天下三分の計」のように私を鍼灸院の経営者として復活させてくれる鍵となるのでしょうか?
つづく,,,,(10)
蒼天航路の孔明はド変態でインパクト大です。
札幌市白石区の鍼灸院:快気堂鍼灸院白石
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