医師・医学博士から見た快気堂鍼灸院白石
鍼灸に携わる契機は癌遺伝子検査でした。検査に来る患者さんは進行癌の方が多く癌が原因で非常に強い痛み(癌生疼痛)に悩んでいる人が多いです。痛みは深刻で、例えるならば、歯医者で歯を削る時に神経に触ると鋭い痛みを感じると思いますが、この痛みがずっと続く感じで、気が狂いそうになるくらいの痛みです。
病院でこのような強い痛みを和らげるのは麻薬を使うしかありません。麻薬を使うと痛みは緩和されますが、意識レベルが下がってしまい、大切な時間が失われてしまいます。そこで、麻薬以外の痛みを緩和する方法がないか探していました。
院長の谷地一博先生とは北海道大学医学部の大学院生時代に一緒に癌研究を行っていた縁で、鍼治療を癌性疼痛の緩和に使うことを考えました。しかし、鍼治療は科学的に証明することが難しくエビデンス(科学的根拠)を重視する病院では受け入れて貰えませんでした。そこで諦めずに谷地先生とともに脳科学の技術を使って解析を始めました。
しかし鍼灸師にとって、最新の解析により自らの治療技術が数値化され丸裸になってしまうので、もし効果が無いと証明されてしまった場合、死活問題となります。相当な覚悟が必要だろうと思っていましたが、鍼灸界の未来のため躊躇なく全ての技術を曝け出し協力してくれました。
研究の結果は非常に良好で、従来証明が困難であったとされる項目ですら楽々クリアするほどの結果で、科学的にもその効果が証明されましたので、現在学術英文論文を投稿準備中です。
谷地一博先生は自らの利益を後回しにしてでも患者さんに尽くす立派な人柄だけでなく、鍼灸師としても、現在世界で唯一科学的に治療効果が実証可能であった治療技術を持つ先生ですので信頼しています。今後、より多くの患者さんがその恩恵が得られることを
祈っております。
プロフィール
加藤容崇
医師、医学博士
専門は癌、遺伝子検査、病理学
経歴
2010年: 北海道大学医学部卒業。
2013年: 北海道大学医学部腫瘍病理学分野にて博士(医学)取得。MD-phDコース第1期生。
2013~2015年: 北海道大学医学部にて特任助教として勤務、癌研究と病理診断に従事。
2015〜2017年: 米国ハーバード大学医学部付属マサチューセッツ総合病院にてリサーチフェローとして勤務、膵臓癌研究に従事。
2017年〜現在: 北斗病院病理遺伝子診断科・腫瘍医学研究所に勤務
2018年〜現在: 慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニットに勤務。現在は、癌遺伝子診断・ゲノム医療の国内トップランナーである西原広史教授のもと癌遺伝子診断、研究に従事する傍ら、鍼治療の研究も行っており、一般社団法人日本鍼治療標準化学会・代表理事を務め、鍼治療の科学的根拠(エビデンス)を確立し標準治療の確立を目指している。