札幌市・白石区の鍼灸院|医師との共同研究で磨かれた、やさしい鍼(はり)の専門家

3)鍼灸治療の科学的根拠

科学的根拠とは

科学は、現象のメカニズム(機序)を明らかにする事を目的とします。

 

研究者は、仮説を立て、仮説に基づいた実験を繰り返します。仮説を証明するのに十分なデータが得られたら、それを論文化します。論文は科学論文雑誌に投稿され、科学的見地で十分根拠となるかを審査されます。科学論文雑誌は数多くありますが、ランクがあり、ランクが高い方ほど、掲載されるのが厳しく、その分、掲載されれば、信頼性の高い科学的根拠として認められます。

 

医学系論文のデータベースであるPubmedacupuncture(鍼治療)を検索すると、2万件以上の論文がヒットします。

 

その中で、権威ある雑誌に掲載された代表的な論文を3つ紹介します。

鍼灸に関する代表的な科学論文

 

  1. Adenosine A1 receptors mediate local anti-nociceptive effects of acupuncture.

 

Goldman N

 

Nat Neurosci. 2010 Jul;13(7):883-8. doi: 10.1038/nn.2562. Epub 2010 May 30.

 

2. Organization of endogenous opiate and nonopiate pain control systems.

 

Watkins LR,Mayer DJ

 

Science. 1982 Jun 11;216(4551):1185-92. 

 

3. Dopamine mediates vagal modulation of the immune system by electroacupuncture.

 

 

Terres-Rosas R

 

Nat Med. 2014 Mar;20(3):291-5. doi: 10.1038/nm.3479. Epub 2014 Feb 23.

 

1は、鍼治療の局所での鎮痛効果の根拠となる論文です。鍼をすると、そこに麻酔のような働きをするアデノシンという物質が発生し、痛みを抑えるという内容です。Nature neuroscienceという神経系ではトップクラスの論文雑誌に載っています。

 

2は、鍼治療による全身性の鎮痛効果の根拠となる論文です。鍼をすると、脳で脳内麻薬的なものが作られ、体全体の痛みが抑えられるという内容です。自然科学雑誌の最高峰Scienceに掲載されています。

 

3鍼治療によって免疫力が高まる効果の根拠となる論文です。鍼をすると、炎症を抑えるメカニズムが働き、免疫効果が高まるという内容です。医学論文雑誌の頂点に君臨するNature Medicineに掲載されています。

科学的知識を活かして

このように、基礎実験のレベルですが、局所での鎮痛効果、全身での鎮痛効果、免疫力を高める効果については、信頼性の高い科学的エビデンスが、鍼治療にはあるということになります。

 

当院では、患者さんのために最高の治療を提供したいと考えています。

 

西洋的な医学や科学が全てとは思っていませんが、医学的・科学的視点を持つことで、治療を選択する目が養われます。医学や科学のデータは常に更新され続けています。まやかしではなく、真に患者さんの利益になる治療法を選択するため、日々、これらに触れ、学び続ける姿勢を大切にしています。

次は鍼灸の医学的根拠について考察してみます。

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