後鼻漏の症例
後鼻漏の症例003
■症状と来院まで
「夜、寝つけない」「寝てもすぐに目が覚める」。
2〜3年前から続く後鼻漏に悩まされてきた70代の男性。特に睡眠中に一度目が覚めると、鼻の奥から喉に流れ落ちる不快感が気になって眠れなくなってしまうとのことでした。最近では、2時間ほどしか眠れない日が続き、仕事にも支障をきたしていました。
病院で処方された薬では効果を感じられず、「何とかしたい」という思いで当院を訪れました。
■通院データ
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通院期間:2024年3月~2025年4月
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通院間隔:週1回〜月1回(途中2ヶ月中断)→再開後は週4〜1回
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通院回数:40回
■施術と経過
後鼻漏や痰といった症状は、首や肩の強いこりが関係していることが多く、実際にこの方も首全体が上から下まで硬直しており、可動域も非常に狭い状態でした。
初診では、首を直接施術するのではなく、腰の下や足のすねに鍼を施すことで、首の可動域の改善を図りました。結果、可動域が広がり、その日はよく眠れたとのこと。
その2日後には再び後鼻漏が現れましたが、同様の施術方針で週1回の通院を8回継続。「眠れるが、後鼻漏は残る」という段階で、一時的に治療を中断。以降は月1回程度のメンテナンスを継続し、症状の悪化は見られませんでした。
半年後に再び本格的に通院を再開できるようになり、週2〜4回の頻度で集中施術を開始。症状の中心は首の根元に絞られていたため、ツボの場所も膝の裏や足の甲などに調整し、治療を進めました。
通院を重ねる中で徐々に痰の量が減り、2週目あたりで日中の不快感がほとんど気にならなくなり、31回目の施術後には「夜間の後鼻漏が減った」とはっきりした実感を得られるように。その後数回の施術で、夜間の不快感も解消され、安眠が得られるようになりました。
最終的には週1回のペースでの安定施術を4回行ったのち、来院の継続が難しくなったため、今後は「時間が取れるときに体調管理のためのケアとしての通院を」と提案し、ひとまず治療を終了しました。
■使用した主なツボ
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胞肓(RL)
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足三里(RL)
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陰谷(L)
■まとめ
初診時は首がほとんど動かないほどの強いこりがありましたが、数回の施術で可動域が大きく改善。その後も定期的な施術により、首の根元に残っていた深部のこりを少しずつ緩めていくことで、後鼻漏の症状も着実に改善していきました。
とくに印象的だったのは、「眠れるようになったことが、回復の加速につながった」とご本人が語っていたこと。しっかり眠れることで体の回復力が引き出され、治療効果がより高まったことがうかがえました。
また、一度中断された後も月1回のペースで来院を続けてくださっていたことが、再開後の順調な経過にもつながったと考えられます。
首肩に強いこりがある方、夜間の後鼻漏でお悩みの方には、同様のアプローチが有効なケースも少なくありません。「眠れないつらさ」を一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。
後鼻漏の症例002
お客様
40代 女性 事務職
来院
2022年9月
症状と来院理由
来院1年前より後鼻漏がひどくなる。食べたものが鼻の奥につまるため、ゼリーしか喉を通らなくなる。体重が著しく減少。耳鼻科、脳神経外科では異常なしと言われる。耳鼻科を何件かまわったところ、慢性上咽頭炎と言われ、Bスポットを開始。2〜3ヶ月でご飯が食べられるようになったが、その後、もとに戻ってしまう。来院時は耳の近くのつまり感が強く、思考力と記憶力が低下し、息苦しさや動悸が強いため休職中。仕事の復帰を目標に来院。
施術内容と経過
<初診>
触診すると、上咽頭の熱が抜けるのを妨げる首のこりが強かった。手、脚のツボを使い首のこりを緩めた。
<2診目>
野菜は食べられるようになったが、耳のつまりが気になる。歯磨きをすると音が響く。
上咽頭の熱を抜くとともに、耳のつまりのもととなる顎のコリを手のツボに鍼をして緩める。
<3診目>
飲み込みづらさは解消。耳のつまりも和らぐ。引き続き、肩と顎のコリを緩める。
<4〜7診目>
症状の緩和が見られ、息苦しさや動悸の不安も無くなってきた。「仕事に復帰する気力が出てきた」とのこと。
<8診目〜>
仕事に復帰。ストレスがかかると首肩の不調が出るが、鍼をすると回復。月に1〜2回に通院頻度を落として、良い状態を保っている。
主に使用したツボ
足三里、委風、養老
考察
休職せざるを得ないほど重度の自律神経症状が出てしまっていた。慢性上咽頭炎がその根本にあった。病院の検査では上咽頭に貯まる熱に対処することができないので、対応が限られてしまう。そうこうしているうちに悪化してしまった症例。
首や顎のコリに注目し、手脚のツボを使ってコリを緩めることで順調に回復が見られた。
仕事に復帰するという明確な目標があったのも、早期の回復につながったと考えられる。
後鼻漏の症例001
症状と来院まで
来院一ヶ月前、息苦しさがあり咳がひどくなった。同じ時期に突然鼻水がバーっと出た。元々喘息もあるがそれは落ち着いている。しかし、朝、喉がかゆく咳がでて、粘り気のある痰があり、食事中飲み込みづらさがある。内科を受診したが特に何も異常はないと言われた。インターネットで上咽頭炎と検索し、当院を見つけたので来院した。
来院者
性別:女性 年代:40代
通院期間・通院間隔・通院回数
通院期間:2024年12月~2024年7月
通院間隔:週2回~月1回
通院回数:22回
施術と経過
後鼻漏の原因になりやすい首、肩の後ろにかけてコリが強く、上を向くと同様の場所に痛みが出る。お腹の調子を聞くと、みぞおちの下に痛みがあるとのこと。背中のみぞおちの高さにあたる場所に圧痛があった。肩、お腹と関係が深いふくらはぎのツボに鍼したところ、どちらも痛みが緩和した。背中に対して足のすねにあるツボに鍼をして初診は終了した。
初診の夜は咳が止まり、のどのかゆみは軽くなったので5診目まで週2回のペースで同様の方針で施術を続けた。症状が改善し週1回ペースになった頃、息が熱い感じ、首から上の熱っぽさが出てきた。腰にある頭部の熱を取るツボを追加したところ「調子がよい」「息苦しさがない」とのこと。10診目で鼻づまりや、咳、熱っぽさが再び出てきた為、週2回ペースに戻した。16診目にこれらの症状が緩和したため再び週1回にし、安定した頃ペースを落としていき1ヶ月空けても問題なく過ごせたので22回目で治療を終了した。
使用した主なツボ(3つまで)
築賓RL 足三里RL 次髎RL
まとめ
首や肩のコリが血行不良が起こし、鼻や上咽頭に侵入した異物が体外に排出しきれず留まっていたと考えられる。お腹の緊張が強い状態であり、腹部が固まることで余計に首や肩のコリが取れづらい状態となっていた。首や肩にコリのせいで頭部の熱の逃げ場がなくなり、ほてりとして症状がでてくる。つまりまだコリが取れきれていないと判断し、一度下げたペースを戻し徹底的にコリを取った。一度改善したと思いきや再発のような現象はよくおこるが、患者様の治療方針に対してのご理解が深いおかげもあり治療を着実に進めることが可能となった。