【症例14】難聴・強い耳鳴り・鼓膜の圧迫感
風邪の症状をきっかけに右耳の聴力がほぼ消失した20代男性の症例です。入院を経て聞こえは戻りましたが、2種類の高い耳鳴りと鼓膜の圧迫感が続きました。発症後早期に鍼治療を開始し、継続的な施術により、20回の通院で症状がほぼ消失しました。
来院者
| 性別 / 年代 | 男性 / 20代 |
|---|---|
| 主な症状 | 右耳難聴、強い耳鳴り(2種類の高い音)、鼓膜の圧迫感 |
| 診断名 | 突発性難聴 |
| 発症からの期間 | 発症10日で来院 |
| 来院日 | 2018年3月 |
| 通院間隔 | 週2回 |
| 通院回数 | 20回 |
症状と来院までの経緯
発症の10日前より、咳、鼻水、痰が出ていました。3月19日の夕方に右耳の感覚が突然なくなり、音が全く聞こえず、強い耳鳴りと鼓膜の圧迫感が生じました。3月20日より耳鼻科に1週間緊急入院。星状神経節ブロック施術では首の痛みが悪化し、ステロイド投与では副作用が出たため中止となりました。

退院後、聞こえるようになりましたが、音がこもってて聞き取りづらい状態が続きました。「高いキーン」という耳鳴りが2種類聞こえ、精神的に落ち込むと耳鳴りと圧迫感が増悪していました。
施術と経過
初診時の評価では、耳まわりから首にかけての緊張が極めて強い状態でした。上を向くと首の後ろが痛むとのことでしたが、動きに関連する脚のツボに鍼をしたところ、上を向いても首が痛まなくなりました。また、肩甲骨の動きが悪かったため、スネのツボに鍼をして改善。さらに、僧帽筋に特徴的な緊張が見られたので、手の甲に鍼をして緩めました。

同様の方針で週2回のペースで施術を続けました。5診目で検査上の数値に回復が見られましたが、体感は変わっていませんでした。9診目で耳鳴りが小さくなり、11診目では検査上問題ない数値になりました。しかし「こもった感じが気になる」とのご指摘もありました。16診目で耳鳴りがない時間が出てきて、20診目で症状がほぼ無くなりました。検査の数値も全く問題ないため、通院を終了しました。
使用した主なツボ
地機R、光明R、裏宮R
担当鍼灸師の考察
風邪の症状をきっかけに聴力がほぼ消失した症例でしたが、退院後すぐに来院していただいたため、発症後わずか10日という早い段階で治療を開始できました。この早期治療開始が早期回復につながったと考えられます。
興味深いことに、耳鼻科の検査で問題ない数値に回復した後も、耳鳴りや耳閉感が続きました。このような場合、耳鼻科でできることは限られてしまいます。しかし、継続的な鍼灸治療により最終的に完全回復に至ったことが、医学的検査値とは別に、身体の感覚的な改善を追求することの大切さを示しています。不安な中でも回復の兆しを頼りとして、計画通り通院を続けていただいたことが、完全回復につながったと考えます。
同じような症状でお悩みの方へ
難聴、耳鳴り、鼓膜の圧迫感が同時に起こっている場合、複数の身体部位の緊張が関連していることがあります。医学的検査値が正常に戻っても、感覚的な不快感が続く場合、全身のバランスを整える鍼灸治療が有効です。
※ 個人の症例であり、効果効能を保証するものではありません。症状や回復には個人差があります。


