【症例31】人の声が聞こえる耳鳴りを伴う突発性難聴(60代女性)
病院で処方された薬がいったんは効いたものの、一週間と経たずに再発し、今度は両耳が中等度まで低下してしまった60代女性の症例です。夜も眠れないほど大きな「人の声が聞こえる耳鳴り」に悩まされ、一人での外出も怖い状態から、鍼灸で耳鳴りと聞こえに変化が現れた経過をご紹介します。「薬が効かなくなった」「耳鳴りで人の声が聞こえる」という方に読んでいただきたい事例です。

来院者
| 性別 / 年代 | 女性 / 60代 |
|---|---|
| 主な症状 | 両耳の聴力低下(中等度・40〜60dB)、人の声が聞こえる大きな耳鳴り、音が二重に聞こえる |
| 診断名 | 突発性難聴(再発・両耳) |
| 通院期間 | 約3ヶ月 |
| 通院回数 | 計20回(週2回 → 週1回へ調整) |
来院までの経緯:薬が効かず、両耳が中等度まで低下
発症からおよそ1ヶ月後の来院でした。はじめは耳鳴りと、右耳から入る音が二重に聞こえる状態。病院で処方された薬を飲むと、いったんは耳鳴りも聴力も正常値まで改善しました。ところが一週間と経たないうちに再び難聴になり、今度は両耳が40〜60dB(中等度)まで低下。同じ薬を処方されても今回は効かず、ほかの方法を探して当院へ来院されました。
両耳が中等度まで下がったことで、一人での外出も怖くてできない状況。とくに耳鳴りは、夜眠れないほどの大きさで、男性の話し声が複数聞こえることもあるとのことでした。なお、今回の発症の2ヶ月ほど前から耳のつまりを感じていましたが、病院では「異常なし」と言われ、その際に耳抜きをしてもらってから耳の不調が続いていたそうです。
施術と経過:首こり、そして肩へとアプローチ
1〜6診目:強い首こりを緩め、聴力にわずかな回復
首こりが強く、ご本人の自覚もあったため、首の動きを確認しながら緩めていきました。鍼の後は可動域が広がり緩みも確認できるのですが、同じ箇所のこりが戻ってきてしまう状態が4回ほど続きました。3回ほど施術を重ねると聴力の回復がみられ、1対1での会話では「前よりは聞こえるかな」という程度まで戻りました。ただし、耳鳴りは強いままでした。
7〜9診目:テレビの音が聞こえるように
7診目には、いつもより3段階ボリュームを上げればテレビの音が聞こえるようになっていました。首こりも改善し、こりが強く戻ってくることもなくなりました。
10診目以降:肩へ切り替え、耳鳴りに日内変動
首こりが緩んだことで肩のこりが気になるようになってきたため、10診目以降は肩を中心に施術しました。肩は寝違えをよく起こす場所だったため、寝違えに使う手の小指近くのツボを用いると、寝違えの痛みが続くことがグッと減ったそうです。このツボは首や耳とも関係するため、繰り返し使用しました。10診目以降は、耳鳴りが落ち着いていると音がよく聞こえるようになり、調子の良い日は一人で外を歩いても怖くない状態になっていきました。
17診目以降:耳鳴りの波が穏やかに
17診目には、耳鳴りが強くなっても2時間ほどで落ち着いていくという日内変動がみられ、耳鳴りにも少しずつ変化が現れました。聴力は正常値までは戻らず補聴器を検討することになりましたが、間隔を延ばして経過をみても悪化することはなかったため、一旦終了としました。
使用した主なツボ
手戸、委中(いちゅう)、漏谷(ろうこく)
担当鍼灸師の考察:時間が経っても、耳鳴りは変化する
はっきりと聴力が低下したのは5月下旬でしたが、お話を伺うと3月から耳のつまりなどの違和感はあったとのこと。発症から3ヶ月以上が経過していましたが、それでも聴力と耳鳴りに変化がみられました。
今回は補聴器を検討することになりましたが、「補聴器をつけるために、少しでも聴力を上げたい・安定させたい」という目的で来院される方もいらっしゃいます。時間が経過していると聴力そのものの回復は難しくなっていきますが、耳鳴りなどの随伴症状——とくに耳鳴りは、音楽や人の話し声など人によって様々で、煩わしさが強いと感じている方が多く来院されます。
こうした症状も改善の可能性がありますので、鍼灸を選択肢のひとつに入れてご検討いただければと思います。

同じような症状でお悩みの方へ
薬が効かなくなった突発性難聴や、夜も眠れないほどの耳鳴り、「人の声が聞こえる」タイプの耳鳴りでお悩みの方は少なくありません。時間が経過していても、耳鳴りなどの随伴症状は変化することがあります。
お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
※ 個人の症例であり、効果効能を保証するものではありません。症状や回復には個人差があります。


